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さう日和。

ファニーフェイスなオナゴ。ジャニーズ中心生活。

福田くんってさ。【5】

ジャニーズ 妄想 長編

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『今日はどこのバイトだったの?』

『今日は居酒屋』


洗濯機に衣類と洗剤を入れながら、

右肩を上げてケータイを耳に押し付け、
電話から聞こえる柔らかい声に応える。

スイッチを入れてから気づく。


…柔軟剤入れ忘れちった…


このあいだの体調不良事件があってから
やたら福田くんから
電話が掛かってるようになった。


『明日は?』

『もう一個の方のバイトからの居酒屋』

『頑張り過ぎだって』

『そんな急には変えられないよ(笑)』


何日かおきにかかってくるその電話は
どうでもいい内容だけどとても面白い。


『そんなに稼いでるなら今度は○○の奢りだな』


最初は恥ずかしかった呼び捨ても
今ではもう慣れっこだ。


『牛丼でいい?特別に大盛りにしてあげる』


電話の向こうでケラケラ笑う声と、
ゴクリと何かを飲む音が聞こえる。
彼のことだから多分ビールか何かだろう。


電話でたくさん話しているうちに
福田くんの色んなことを知った。

お酒が好きとか釣りが好きとか…
他にもたくさん。

どれを聞いても福田くんらしいな、
ということばかりだった。

ただ、29歳という年齢を聞いた時は
もっと近い年齢だと思ってたから
ちょっとビックリした。

でも、


『29…歳、なんですか…』


と、一瞬戸惑った私に


『距離置いてんじゃねーよ若者が(笑)』


って笑い飛ばしてくれて
やっぱり福田くんは福田くんだな。
と思った。


福田くんとのたわいもない電話は
想像以上に私に変化をもたらすようで、


『最近、よく笑うようになったわね』


新店舗の準備で1ヶ月ほど
地方の店舗にヘルプに行っていた姐さんに
いきなりそう言われた時はとてもびっくりした。


『…へ?』

『いや、別に元から笑わなかった訳じゃないけど、
なんて言うか○○ちゃんってどこか仕事人間な
ところあるじゃない?仕事好きというか。』

『…はぃ…』

『でも最近すごく雰囲気がいい。
柔らかくなったっていうか…

う〜ん。なんて言っていいか分からないけど
とりあえずアタシ、今の○○ちゃん好きよ。』


姐さんがそう言って優しく微笑んでから
その場を後にする。


確かに。最近前みたいに
弱気になったりしなくなったかもしれない。

どちらかと言うと。
幼稚園生くらいの時の、
あの初めて友達が出来た感覚に近い。

毎日が発見の連続というか。
どうでもいいことでも楽しくなった。


これもきっと、福田くんのおかげなんだろうけど


ただ、一つだけ気になることがある。


あの日、私をたちゅみさんの家に
迎えに来てくれた時に
福田くんが乗っていた車。


泣きじゃくっていて、
その場で彼に聞くほど余裕がなかったけど

可愛いパステルカラーの軽自動車。
中にはキャラクターもののクッションに
水玉柄のひざ掛け。

あれは明らかに…


『彼女の…車だよなぁ…』


独り言のように呟くと、
胸が少しだけチクンと痛んだ。

なんで胸が痛むのか自分でも分からなかったけど

きっと、
彼女がいるのに迎えに来てくれたり
気を遣って電話してきてくれたり。

また彼に迷惑をかけていることが
申し訳ないからなんだ。

そう思ったから胸が痛んだんだ。
と、思うことにした。


『そっか…彼女いるのか…』


じゃああまり仲良くしないほうがいいかな…
と付け足しながら、ボソリとそう口にすると、
さっきよりももっと胸が痛んだ気がした。





『仕事納めだぁー!明日から休みだぁー!』


会社の忘年会が終わったらしい
酔っ払いの福田くんから
電話がかかってきたのは深夜の2時だった。


『ひゃっほ〜〜ぅぅ!!!』

『福田くん…今何時だと思ってんの…?』


仲良くしない方がいいとか思いながらも
無意識的に電話を取った私は
未だに半分寝たままの脳みそで
テンションの高い彼の相手をする。


『分かんない!ずっと飲んでたから!!』

『楽しそうだね…』

『楽しい!!!』


お酒が好きだと言っていた彼は
本当にたくさん飲んだようで
とにかく楽しそう。


『○○は年末年始の休みあるのっ?』

『一応バイトだから休みにしてくれた…』

『待遇いいね』

『私は休むより働きたいんだけどね…』

『ふーん!』


たわいもない話。
明日もバイト2つ入ってるし
おやすみと言って電話を切ろうとした時だった。


『ならさ、ウチに雑煮だけ食いにこれば?』

『…は…!?』


さすがに目がギャン!と冴えた。
何言ってんの、この人。


『だって実家帰らないんでしょ?』

『か、帰らないけど…』

『ならいいじゃん。おいでよ。』

『いやぁ、それは…』

『なんで?ウチ、家で餅つくから美味いよ』


そういう問題ではない。


『あのねぇ、福田くん…』

『あ、ごめん。タクシー来たわ〜
じゃあね〜〜!』


え?と思った頃には
電話からツーツーと機械音が流れていた。

なんだか突然のこと過ぎて
全然飲み込めないまま、
また睡魔が襲ってきた私は
何も考えず寝る事にした。


酔っ払いながらした電話だから
きっと福田くんは忘れるだろうな。
むしろ忘れてほしいな。


そう思ってまた眠りについた。





『で、年末年始の事なんだけど。
1日でいい?ウチに来るの。』


しっかり覚えていた彼から電話がかかってきたのは
すぐ次の日だった。


『…あ?』

『お餅』

『え…あ、あぁ?』

『○○、ヤンキーみたい(笑)』


相変わらずケタケタ笑う。


『え、いいよ…悪いし』


普通に考えて人の家に元旦からお邪魔するなんて
気が乗るわけないし。
何よりあんた彼女どうすんだい。


『なんで?いいじゃん。』

『いやぁ…』

『1人で家にいんのも寂しくない?』

『はぁ…』

『辰巳とかも来るよ』

『え?そうなの?』


ずっと煮え切らない返事をしていたのに
たちゅみさんの名前に反応した私に
少しムッとする福田くん。


『なんだよー辰巳がいたら来るのかよぉ』

『いや、そういう訳じゃないけど』

『けどぉ?』


どことなくトゲがある言い方。


『たちゅみさんいたら会話に困らないかなって…』

『…それは一理ある』

『でしょう?』

『ウン。』


話を聞けばたちゅみさん以外にも
普段仲良くしてるメンバー何人か来るらしい。

それなら福田くんの彼女さんにも
後ろめたさ感じることないかな。
そう思って、


『じゃあ来るの?』


まだ少しだけスネ気味の福田くんの問いに


『…お願いします。』


と答えた。








迎えた元旦。
私の最寄駅に福田くんが
迎えに来てくれるというから
服を着替えて軽く化粧をして外に出た。

乾いた風が寒い。

やばい。手ぶらじゃん、私。
手土産とか必要だったんじゃ…
とか考えながら歩き出した時に
目の前に誰かが立ち塞がった。


『カーノジョ。ひとり〜〜?』


古臭いナンパのお決まり台詞を言ってきたのは
紛れもなく私を誘った張本人で、


『福田くん!?』


めっちゃくちゃビビった。


『なんか暇だったから家まで迎えに来てみた』

『ええ〜…』

『みんなもそろそろ集まってくるよ』


朝からお酒を飲んでるのか
少しフワフワした感じの福田くんは
私の手首をパッと取ると、
駅に向かって歩き出した。


『え?福田くんなんでウチ知ってるの!?』

『こないだ送ったじゃん』

『て言うかなんで福田くん歩きなの!?』

『まぁまぁ、そんなに騒ぐなって』

『騒いでないよっ!』

『うるせぇな〜(笑)』


終始楽しそうな福田くんに手首を掴まれ、
20分ほど歩くと、ケータイを受け渡した時の
あの駅前の公園が見えてきた。


『ショートカット』


そう言いながら公園をぶった切る福田くん。

そして公園をすぐ抜けた先に
“福田”の札を掲げる一軒家が見えた。


『…ふ、くだ…?』

『ウン。ここ、俺ん家。』

『…き、近所…!?』

『そうだよ』


家が近所のことにびっくりした。

だけどそれよりも、
家の中に収まりきらないのか
庭でワイワイやっている、
福田家に集まった人の多さにもびっくりして
私の緊張は一気にピークに達した。


こんなに人がいるなんて聞いてないよっ!!


そう思って福田くんを睨むけれど
彼は全く気にする様子もなく、


『お酒ちょーだーい』


と声を張り、
変わらず私の手首を掴みながら
家へと入っていった。



福田家には毎年親戚みんなが集まるらしく
誰が誰だか分からないし、
人もやたら多いしで
周りから私が誰かとか
尋ねられることがなかったから
だいぶありがたかった。


福田くんの親戚の誰だか分からない人がついた
つきたてのお餅を何個か貰って
福田くんのお友達と私の5人で彼の部屋で食べた。

そこでたちゅみさんが紹介してくれた
越岡さんと松崎くんは、


『居酒屋で会ったことあるよ』


って、言っていたけど
全く記憶になかった。

でも2人とも優しくて面白い人で
人見知りの激しい私でもすぐ仲良くなれた。

緊張してた上に手土産も何もなしに来た私は
ちゃっかりと福田家特製のお餅を3つも平らげた。

トイレを借りようと部屋の外に出た時に
たまたま出くわした、
小学生くらいの男の子が声をかけてきてくれて


『…悠太の友達なの?
なら俺も友達になってあげてもいいよ?』


と言われたのが地味に嬉しかった。








『なんで家が近いって教えてくれなかったの?』


夕暮れで染まる帰り道。
家まで送ってくれている福田くんに
私はちょっぴり怒りながら尋ねてみた。


『なんか面白いかなって思って』

『なんも面白くないわ』


真っ赤にてらされながら
またケタケタ笑う福田くん。


『こないだ姉ちゃんの車で送った時
近くて俺もビックリしたよ(笑)』


私はまつ毛をパタパタさせて驚いた。


『…姉ちゃん…?』

『うん。姉ちゃんの車。』

『…ん…?』

『あの時姉ちゃんの車しか無かったんだよね』

『…ん?…ん?』

『○○が電話してきて迎えに行った日さ
ビルの近くまで行った時は
仕事場の車借りられたんだけど

辰巳ん家迎え行く時はさすがに仕事場のは
借りられなかったから、一回家帰ったんだよね

兄ちゃんの車借りたかったけど
出掛けてたみたいで姉ちゃんのしか無くて』

『…』

『だからあの時ちょっと迎え遅れた。
ごめんね、待たせて。』

『いや…もう、そんなのは全然…』


…じゃなくて。
そうじゃなくて。


『俺車持ってないからさぁ』


言葉を失った。
あれ、お姉さんの車だったんだ…


なんだか自分の早とちりが面白すぎて、
欲しい車の話をしている福田くんそっちのけで
盛大に笑い出す私。


『え?何?どうした?』

『いや、何でもない。こっちの話!』


目に涙を溜めながら
家に着くまでずっと爆笑していた私を
福田くんはずっとあのタレ眉のハテナ顔で見ていた。





『到着〜』


すっかり私の家の場所を覚えたらしい福田くんが
アパートの前でそう言った。


『はい、コレ。良かったら食べて』


福田家を出てきた時から
なぜかずっと持っていた紙袋を私に渡してきた。

その紙袋を開けて中を見ると
お餅がたくさん入っていた。


『え?いいの?こんなに…』

『うん、良かったら』

『すごく嬉しい!ありがとう!!』


紙袋を覗き込みながら、
わーいとはしゃぐ私の頭に
福田くんの手がポンと乗り、


『よく笑うようになったね』


姐さんと全く同じ事を言われた。


『ねぇ、それオフィスワークのバイト先の
先輩にも言われたの。
私ってそんなに愛想無かった?』


少し頬を膨らませながらそう聞くと、
福田くんはさっきまで私の頭に乗せていた手で
今度は両頬をムギュッとつぶした。

ブッという音と共にほっぺたが潰れる。


『愛想笑いしかしてなかったって事。』


愛想笑いがばれてたのと、
今この状況が恥ずかしくなって
福田くんの手から逃げるように一歩下がる。


『…福田くん。今日本当にありがとう。
最初は本気で行きたくなかったけど…』

『来たくなかったんかい(笑)』


えへへと笑う。


『でも、すごく楽しかった!』

『それはそれは良かったです。』

『福田くんの親戚みんな面白かったし』

『なにも面白い事やってなくない?』

『見てるだけでも面白かったよ』

『喜んでいいのか分からない(笑)』

『なんか…家族っていいなって思ったよ』


私のその言葉に福田くんがピタッと止まる。


『あったかいよね、家族って…』


そう独り言のように続ける私に
福田くんは少しの沈黙を置いてから言う。


『話しなよ、ちゃんと。』

『…』

『電話でいいから。』

『…』

『…よしっ』

『…?』

『今日の夜!電話かけよう!決まり!』

『…は?』

『今日の夜に母ちゃんでも父ちゃんでもいいから
電話する。で、ちゃんと話す!』


いきなりの決定事項に焦る。


『え、無理だよ!そんな急に!』

『早いほうがいいから』

『無理無理無理!!!』

『しなかったら絶交だから!』

『はぁ!?』


絶交って…小学生じゃないんだから…


そう思いながらも
本気の顔をしてそういう福田くんに
なにも反論出来なかった。


『電話したらちゃんと俺に報告してね』


じゃあまたね〜

そう言ってくるりと向きを変えて歩き出した
福田くんの背中に向かって
もう一度お礼を言った。

振り返って手を振ってくれた福田くんの顔が
すごく優しくて、なんだか安心して、


最強の味方を手に入れた気分になった私は
その日の夜、少しだけ震える手で


“お母さん”


と、登録された電話番号をタップした。






【続く】


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次回、「幼馴染とジャニーズDVDを6時間ノンストップで見てこのクソ寒い真冬に汗かくぐらい興奮してはしゃいだんですよ。そしたら幼馴染がこっしーカッコいいねって言い出すから、ガッチリ握手を交わした後に越岡さんの素晴らしさをプレゼンしまくったら越岡さんへの愛しさと切なさと心強さが込み上げて来ちゃって、福田くんの長編始まったばっかりだけど来週は福田くんお休みして不毛で不憫で健気な越岡さん妄想お送りしちゃうんだからスペシャル」やります。


サンキューサンキューでーす。