さう日和。

ファニーフェイスなオナゴ。ジャニーズ中心生活。

ヤンキー岩本くん

先に謝っときます。
なんて言うんですかね、これ。
先手必勝?先手必勝です。


私、BBJの川中陽二くんが好きなんですよ。
良くないですか?陽二くん。
絶対好きな人いますよね?
て言うかみんな好きですよね?陽二くん。


てな訳で、

ひーくんファンの方ごめんなさい。
(スライディング土下座)


完全に書いてみたかっただけでやんす。

でやんす。

で や ん す 。


怒らないでェ〜
怒られるの苦手ェ〜〜




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『…金髪…』


朝の登校で人がごった返す下駄箱で、
あたしの前で上履きに履き替えていた女の子が
かすかに聞こえるくらいの声で呟いた。


女の子はぽかんとした顔で
こっちを向いているんだけど
視線はあたしをすり抜けて
その先へと向けられている。

導かれるようにその視線を追うと、


『…金、髪……』


振り返ったその先には自分も同じように
その言葉を発してしまうほど
光り輝く金色があった。

その金色はだんだんと近づいてきて、
あたしのすぐ横で止まる。

背が高いのに名前の順のせいで
割り当てられた下駄箱の位置が
一番下にある彼は身をかがめて上履きを取り出した。


…まっきんきん……


しゃがむ彼の後頭部を
まじまじと見つめてしまう。


いつの間にか周りの登校してきた生徒に
伝染していたそのリアクションは
彼本人の耳にも届いたようで、


靴から上履きに履き替えた彼が
目線を上げた瞬間に全員が身を震わせた。


眩しいほどの金髪が映える
彼の表情は不機嫌そうに周りを睨んでいて

さっきまでその金色を見ながら
金髪、金髪と囁いていた生徒が
全員彼から目をそらし、一斉に道を開けた。


無論、あたしも例外ではない。
むしろ誰よりも先に素早く道を開けた。


開けられた道の真ん中を
堂々と歩いていく彼の後ろ姿を眺める。



…クラスメイトの岩本くん。

…1回も話したことない岩本くん。

…背高くてガタイのいい岩本くん。


…ちょー怖い岩本くん。





岩本くんとは3年生になって
初めて同じクラスになった。

でも岩本くんの事は知ってた。
何故なら彼が“ヤンキー”だったから。


あたしの学校は3階が1年生
2階が2年生、1階が3年生。
と、歳とともに階段を登らなくて済む
優しいシステムの作りになっていて

さらに1〜3組は西校舎
4〜6組は東校舎に分かれていた。


1、2年どちらも西校舎側のクラスにいたあたしは
東校舎に生息していると噂の
“ヤンキー”の存在は知っていた。

人から聞いて知っていたけど
見たことはなかったし、
別に見たいとも思ってなかった。


そんな“ヤンキー”の噂を
忘れたり思い出してみたりしながら時を過ごし

3年生になったあたしは初めて
東校舎側のクラスに割り当てられた。


なんか新鮮だなぁ、こっち側。


とか思いながらこれから生活する
新しい教室に足を踏み入れた瞬間に
教室の中にいた全員が
一斉にあたしの方に向いた。


『……お?』


いきなり向けられた大人数からの目線に
思わず声を漏らして少し後ろにのけぞった
あたしの背中に、
ポンっと何かが当たる感触がした。


振り返るとそこには、


……ヤンキーがいた。


背が高くて、重めの前髪からのぞく目は
すごく気だるそうな雰囲気を醸し出してる


…ヤンキーがいた。


みんなが見ていたのはあたしじゃなくて
あたしの後ろにいたこのヤンキーだったらしい。


『…すっ、すみま…、』


めちゃくちゃ焦るあたしに
ヤンキーは目だけ合わせてペコっとしてから
あたしの脇をすり抜けて席へと向かった。

迷うことなく自分の席を見つけて
腰掛けるヤンキーをぼーっと眺める。


ぜってぇ、あのヤンキー。
噂になってた、あのヤンキー。


じゃなきゃ教室にいた人たちが
あんなに一斉に見るわけない。


座ったと同時に机に突っ伏して
寝始めるヤンキーの黒髪を見ながら、


…同じクラスかい…


って心の中でそっとつぶやいた。




そんなヤンキー岩本くんが
髪の毛をまっきんきんに染めてきた。
それはもう眩しいくらいに。


ただでさえ怖がられてるのに
金髪なんかにしたら
もう誰も話しかけらんねぇよ…

まぁ話しかけることも無いだろうけど。


もう見えなくなった岩本くんの
背中を思い出しながらそう思った。





まっきんきんに染めた岩本くんの
噂も落ち着いてきた頃、
世の中は梅雨入りしたらしく
毎日毎日ジメジメした気持ち悪い日が続いてた。

あんなに忙しかった部活も
無事に引退して、
ゆっくりした日々が送れると思っていたのに

…この暑さ。


『クソあつい…』


誰かに言うわけでもなく1人でつぶやいて
向かう先は購買。


別に頻繁に購買に行くわけじゃ無いけど
今日はなんていうか、


『チョコプリン…♡』


な、気分だったから来てみた。


お財布を脇に挟んでラスト1個
奇跡的に残っていた人気商品の
チョコプリンを両手で持つ。


購買のおばちゃんにお金を払って


あ〜〜楽しみ〜〜
チョコプリンちゃ〜ん


ルンルン気分で教室へと歩き出した
あたしの背中に聞こえる、


『あら、ごめんねぇ…
チョコプリン今のあの子ので終わりなのよぉ』


購買のおばちゃんの声。


…振り返った先には。



『……ッッ…!!??』


めっちゃくちゃ睨んでくる金髪がいた。


まじかよ!まじかよ!!
何言っちゃんてんだよおばちゃん!!

は、早い者勝ちだしッ!
あ、あたしが先に買ったんだしッ!


心の中で正論を唱えまくるんだけど
足はガクガク震えながら
もう走り出す準備をしていて


…殺られる…!!!


謎の恐怖心に駆られて
岩本くんからの視線を振り払って
走り出した瞬間


『ぎゃッ!』
『おっと!』


同時に聞こえた声とともに
あたしは身体に衝撃を受けた。

ペタンと床に尻もちをつくあたし制服の上着に
チョコプリンが落ちる。


ベチャッと音を立てたチョコプリンは
蓋が破れて…


『…あ…』


中身が飛び出していた。


呆然とするあたしとぶつかった人。

口を開けたままのアホ面で
ブチまけたチョコプリンとぶつかった人を
交互に見るあたしの肩が


『おい!?』


後ろから聞こえた慌てた声と共に掴まれた。


案の定振り返ると
慌てた様子であたしの横に
しゃがみ込む岩本くんがいて


一気に毛穴が開く。


ごごごごめんなさいぃぃ…
チョコプリンを亡き者にしたのはあたしですぅ…
殺さないでぇぇ…
謝るから殺さないでぇぇ…


睨んでくる岩本くんに
半泣きになりながら目で訴えると、


『大丈夫か!?』


あたしの制服の上でお亡くなりになった
チョコプリンには目もくれずに
岩本くんはあたしの方をまっすぐ見据えて
そう言った。


…ん?


どうやら岩本くんは
あたしの心配をしてくれているらしく


『……へ?』


あたしの口からマヌケな声が出た。


『痛いとこあるか?』

『…は…?』

『どっかぶつけたか?』

『…へ…?』

『おい、ふっか謝れよ』

『ごめんね!?大丈夫!?』


呆然としていたあたしは
岩本くんから“ふっか”と呼ばれた人が
目の前にしゃがんだところでやっと我に帰った。


『いいいい、いえいえいえいえ!!
ぶつかったのあたしからですし!!』


未だかつてないほどに
顔をブンブン左右に振りまくるあたしに
なぜか吹き出す2人。


『なんで敬語なんだよ』


あたしの肩に置いていた手を離しながら
ふふっと笑った岩本くんの顔は

“ヤンキー”と言われている人とは
思えないくらい優しい顔をしていた。





『おかえり…って何それ』


教室に戻ったあたしに友達が驚いた声を出す。


『なんでジャージ?』

『かくかくしかじかで』

『意味わかんないんだけど』


怪訝な顔をする友達。


『○○ちゃん、チョコプリンは?』


友達の隣に腰を下ろしたあたしに、
友達の向かいに座る友達の彼氏が聞いてくる。


『…あー、………うりきれ…』


変な間を空けて言っちゃったから
いろいろ突っ込まれるかと思ったけど
まぁこの2人があたしに気をかけることは
特になくて、


相変わらずあたしが参加できないような
2人だけの会話が繰り返される。


…元々は友達と2人でお昼を食べてた。

放課後遊んだりとか
休みに連絡取り合ったりとかするほど
仲良くなかったけど
2人でまぁまぁ楽しくお昼休みを過ごしてた。


なのに急に、彼氏も一緒にいい?
って言われて

いい?とか聞いておきながら
もう連れてきてて、


今はもうこの感じ。

まぁ、ぼっち飯して
周りからヒソヒソ言われるより
マシっちゃあマシなんだけど


…たまに虚しくはなる。


2人で盛り上がるカップルの隣で
お弁当箱を開いてウインナーを口に運んで
モグモグしながらさっきの事を思い出す。


あの後、落としたチョコプリンで
汚れたあたしの制服を見て
何を思ったか急にその場から走り出した岩本くんは

1分もたたないうちにジャージ片手に戻ってきて


『これに着替えて』


とあたしにそれを渡してきた。


『…これ…』

『俺のジャージで悪いけど』


正直なところ教室に行けば
自分のジャージ置いてあったけど
せっかく持ってきてくれた岩本くんに
大丈夫ですなんて怖すぎて言えないから


『…あ、ありがとうございます…』


って小さくお礼をしながら
ジャージを受け取った。


制服の上から岩本くんのジャージを着て
ジャージの中に両手を入れて
モソモソ動きながら中の制服を脱ぐあたしを
岩本くんとふっかと呼ばれた人は
何故だかずっと監視するかのように見ていて


頼むからそんなに見ないでくれ…


って思ったけどやっぱり怖くて言えないから
とりあえず早く着替えることに専念した。


ジャージの中で脱いだ制服を
首からスポンと抜く。



岩本くんが貸してくれたジャージは
超ダッボダボだった。

女子でも別に特別低くない身長の
あたしが着てもこんだけダッボダボなんだから
岩本くんは相当身体がおっきいらしい。


そのくらいダッボダボ。
ダッボダボ過ぎてスカートまで隠れそう。

そのせいで裾からの通気性が半端なく良くて、
ジャージの下に下着とキャミしか
着ていないあたしは腹が冷えないか
ちょっと心配になった。


『○○、本当に怪我ないか?』


腹下しの心配をしていた
あたしの名字が呼ばれる。


『…はい?』

『…怪我、ないか?』


本当にごめんね〜とあたしの隣で
両手を合わせながら謝るふっかと呼ばれた人。


ふっかと呼ばれた人は悪くないから
早くそれを否定しなきゃいけないのに

あたしが1人でテンパって
ぶつかったのが悪いから
早く否定しなきゃいけないのに


あたしは岩本くんから自分の名字を呼ばれるという
まさかの展開に驚きを隠せなかった。


『…なんで、名前?』


あまりの驚き具合に怖さなんて忘れて
思わずそう聞いたあたしに
岩本くんは“当たり前”って顔しながら


『同じクラスだろーが』


って言った。


岩本くんはてっきり周りになんて
興味ないのかと思ってた。

人の名前なんて興味ないのかと思ってた。


なんだよ、結構普通じゃん。
見た目クソ怖いけど中身普通じゃん。


そんな失礼なことを考えるあたしの
ダッボダボ過ぎて、
どっかの六つ子の五男坊みたいになった
ジャージの袖を岩本くんが
いきなり捲ってきた。


『ふっかのジャージの方が良かったかな』


って独り言をぶつぶつ言いながら
袖を綺麗に折る岩本くんに


…そ、袖クルしやがった…


って今度はドキドキして
岩本くんのせいで心臓が大忙しだった。



毎日昼休みには消える岩本くんは
その日もあたしにジャージを貸した後
教室に帰ってくることはなく、
午後の授業が始まるギリギリに
教室に入ってきた。

ふと目が合うと、
あたしにしか分からないくらいで
かすかに目を細めて笑った。…気がした。



岩本くんっていう1人の人間に興味がわいた。


もっと知りたい。

この人のことをもっと知りたい。


香水の匂いがするジャージの裾を
ギュッと握りながら、
少しだけ離れた席に座る岩本くんを
こっそり盗み見した。



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次回「サラリと書くつもりだったヤンキー岩本くんのお話が書き始めたら思った以上にガッツリ書いちゃって私自身何がしたいのか分からないんですけど需要ありますかね?このお話需要ありますかね?来週福田くん再開した方がいいですか?とりあえず岩本くん終わらせちゃった方がいいですか?終わらせるって言っても岩本くんも何話になるか分からない。もう分からない。どうしたらいいの?出来れば誰か教えて下さい。私泣きそう。1人で勝手に泣きそうスペシャル」やります。




…本気で教えて欲しいです。
修復不可能。あははっ。