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さう日和。

ファニーフェイスなオナゴ。ジャニーズ中心生活。

不器用なアイツ。【4】

ジャニーズ 妄想 長編

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揺れてる。


左右上下に頭がフラフラ。

揺れてる。



さっきから怪しかったけど
これはもう完全に、


『寝ちゃったかー?』


完全に寝落ちしちゃったっぽい彼女の
顔の前で手を振る。


さっきまでは俺の釣りの話聞いて、


『この黄色い魚、
キラキラしてて可愛いですね』


って、釣れた魚でもなく
ルアーの写メを見ながらそう言ってたのに。


シーバスは和名でスズキって言うんだよって
教えた時は


『スズキなら私も120cmの
釣ったことありますよ』


って言うからすげービビって、


『スゲーじゃん!!!』


って、叫んだ俺に


『またおまえかー?!
ってやつですよね?』

どうぶつの森かよっ』


ウチの甥っ子と同じレベルじゃんって
突っ込みたくなるようなこと話してたのに。


俺の話に対する相づちが
タイミングずれてきたな、って
思った瞬間にはもう揺れてた。


『はい、おやすみ〜』


机に顔を伏せるくらいまで
ズルズルと落ちた彼女の肩に
自分のジャケットを脱いで掛けてあげる。


肩に掛けた俺のジャケットが
少しだけ目元にまで被さったせいで
視界が暗くなったのか、
彼女は寝息を立てて完全に寝始めた。


今は俺がいるから別にいいけど、
さっきも俺が声かける直前
寝ようとしてたよな、この子…


俺もさっきちょっとだけ寝落ちしたけど
それは男だから別になんも問題ないだけで、


『女の子なのになぁ…』


逞しいのか危機感がないのか。

目の前の彼女に視線を向けた。


…彼女に声を掛けてから寝落ちするまで

約4時間。


ほとんど釣りの話しかしてないけど、
1つ気になる事がある。


多分…いや、絶対。

彼女、俺のこと覚えてない。


3年前の、俺のこと覚えてない。


話しながら、心の隅で
覚えてるかな?って観察してたけど


完全に忘れてやがる。


口うるさいおばさんから
目をつけられていつも怒られていた
あの時の彼女にとったら


“大丈夫?”


って周りから声をかけられるのは
別に珍しい事じゃなかったのかもしれない。

だから忘れていたとしても仕方ない。

何年も前の事だし。


…とは思うんだけど

やっぱりちょっと気にくわない。


俺はちゃんと思い出したのに。

忘れてたけど顔見た瞬間に
ちゃんと思い出したのに。


なのに彼女は
そんな事あったって事さえも忘れてて

…なんかムカつく。



『忘れてんじゃねぇよ〜』


って言いながら彼女の髪を
少しだけ摘んでピンピンと引っ張ったら、


『痛い…』


ってめっちゃ低い声で言われて
ビックリした後にすげぇ笑えた。



彼女が寝ちゃって暇になったから、

仕事で使ってる名刺を取り出して
自分の名前の下に携帯番号を
手書きで書いて彼女のバックに
コッソリ入れておいた。


これで電話来たらウケんな〜
なんて軽く思った俺の顔は
少しだけニヤニヤしていた。



ケータイでゲームしたりして
時間を潰しても
喋り相手がいないと俺も眠くなってくる訳で、


『…あふっ』


欠伸をして、机の上に頬杖をついて


もう少しで7時なるな…
彼女起こしてあげないと…


目をつぶりながらそう考えてた俺の耳に、
布が擦れる音と、
よだれをすする音が同時に聞こえた。


『…ねてた…』


小さく独り言を呟いた彼女の視線が、
ふと俺で止まったのが分かる。

目をつぶっているけど、
こっち見てるって分かるくらいに
俺に視線が向いているのが分かる。


ジーーーーッと注がれる視線に
ずっと耐えていたけれど、


『…天パだけど…』


その言葉に思わずパチッと目を開けた。


目を開けた先には両手に顎を乗せて
俺をガン見しまくる彼女がいて


『悪口言うなよ』


俺が寝てると思っていたらしく
本当に驚いたって顔をしている彼女が面白くて

虐めたい気持ちが芽生えた俺は
彼女に手を伸ばして、また鼻をギュッとつまんだ。



『もうすぐ7時になるね。行きますか。』


そう声を掛けると、彼女は返事をして
お礼を言いながら俺にジャケットを渡してきた。


『あ、伝票ください。』


俺が手にした伝票を欲しがる彼女に
一瞬、ん?ってなって、


…あぁ、そっか。
暇つぶし付き合う代わりにご馳走するって
言われてパンケーキ食ったんだった。


すっかり忘れてた事を思い出す。


不思議そうに俺の顔を見る彼女。


『払わせるわけ無いじゃん』

『いや、ダメです!私払います!
お礼にならない!払います!』


慌てて後ろを追ってくる彼女を
シカトして自分の分も含めて
全部会計をする。


『これじゃお礼になりませんよ…』


本気で落ち込んでるって風の彼女は
下を向いてポショポショ話す。

なんでそんなに気にすんだろ。
こんな何百円の話なのに。

つむじ丸見えの彼女の頭を
ポンと叩くとその顔が上がる。


『じゃあさ、敬語やめてよ。』

『…敬語、ですか?』

『うん。俺、敬語使われるの苦手なんだよね』


気を使わせないために言ってるのに
彼女はそれでも不満そうに
…でも、と口にする。


『でも?』


わざとらしく彼女の言葉を繰り返すと、


『…なら、お言葉に甘えます。
本当にありがとうございました。
ご馳走様です。』


やっと素直になった彼女の頭に
また自然と手が伸びていた。





***





『…あ…』


いたずら電話かと思った。


朝から打ち合わせに行ってて


昼飯食ってから会社戻ろうかなー
腹減ったなー何食おうかなー


なんて考えながら停めていた車に向かって
歩いていたら電話が鳴った。


知らない番号だったけど、
仕事関係かもしれないし
とりあえず電話に出たら
掠れまくった声が聞こえた。


『はい?』


仕事関係でも友達からでもなさそうな
その声に、訝しげながら返事をすると、


『…あの…○○、です…』


電話の向こうから
頼りない声が、そう名乗った。


『ああ。名刺やっと気づいたんだ(笑)』


バックに入れた名刺に
今更気づいた彼女の鈍さに
ケタケタ笑いながらそう声をかけるけど、


『てかどうした?声やばくない?』


それよりもなんでそんなに
死にそうなか細い声なんだ…?


俺の問いかけに、
またか細い声で返事した彼女は


ふぅ、って一度小さく息を吐いてから


『…あの…』


喋りだす。


『うん…』

『あ……あの…』

『うん、どうした?』


無意識のうちに、
携帯を耳に当てる腕に力が入る。


『気持ち…悪くて……』

『うん』

『ちょっと……お願いが…』

『迎え?』


彼女の言葉に被せ気味に
そう言いながら、
もう車に乗り込んでた俺は
彼女を迎えに行くことしか頭になくて、


『謝らなくていいから。今どこにいるの?』

『こないだのファミレスの近くの…ベンチ……』

『すぐ行く』

『本当にごめんなさい…』


彼女の声を聞いた後に
すぐ電話を切って、
アクセルを強めに踏んだ。





彼女の言った、
“この間のファミレス”

あの時間つぶしを一緒にした
ファミレスにまで車を走らせた。


車を路上に停めて、


近くのベンチってどこだよ…


少し離れたところで
焦りながら周りを見渡すと、
道行く人たちがチラチラと横目で見ながら
歩いていくのが見えた。


早足に近づいていくと、

ベンチの手すりにもたれる彼女がいた。


短いスカートを履いてるくせに
横になっているせいで
花柄のパンツが丸見えだった。


ベンチの近くまで行って、
彼女の顔を覗き込む。

真っ白な顔にじんわりと汗が滲んでいた。


『○○!○○!』


想像していた以上に辛そうな
彼女の姿に焦って、呼んだこともない
下の名前を呼び捨てしてしまった。


ゆっくりと目を開ける彼女。


『○○…?』


半目状態で俺の顔を見る彼女に
もう一度呼びかける。


本当に顔面真っ白。
てゆーかもはや青白い。


『…ふくだ…くん』


まだ不安定な目をして
俺の名前を呼ぶ。


『大丈夫か?』

『ごめんなさい…』

『全然いいから』

『ごめんなさい…』

『歩ける?』

『ごめん…』


それしか言えねーのかよって
言いたくなるくらいに
ごめんなさいを繰り返す彼女に
少し苛立って、

彼女の身体に腕を回して
思いっきり肩に担いだ。


担いだ彼女の身体は
意外と重くて、


女子って見た目より体重あんだな…


とか思った。


今までパンツ丸見えの女が
ベンチでグロッキーになってただけでも
まぁまぁ目立っていたのに

急に現れた俺が肩に担いだもんだから
歩いていた人達が
全員俺らのほうを向く。


『…はい、行くよ』


少しだけ恥ずかしくなりながら
肩に担いだ彼女と共に、
荷物も手にして近くに停めた車にまで運ぶ。


『ふくだくん…』


早くこの場から去りたい俺に、
彼女が声を掛けてくる。


『なあに?』

『パンツ…見える…』


いや、あなたベンチの上で
横になってた時点で丸見えでしたから。


ちょっと笑いそうになるのを我慢する。


『花柄のパンツなんて
誰も見てないから安心しなさい。』


そう言った俺に、彼女は


『…見てんじゃん…』


と、不貞腐れた。

そして


『…本当にごめんなさい…』


小さく聞こえたと思ったら、
俺の肩に掛かる体重が少し重くなった。


『おい?』


返事が聞こえない彼女を、
車の後部座席に寝かせると

俺がバックに忍ばせた名刺と、
ケータイ電話をギュッと握っているのが見えた。


赤ん坊が母親の服を強く握るように、
それを握る彼女の手を上から優しく包んだ。


…どうすっかな。


ふぅふぅ息をする彼女の
汗でおでこに張り付いた前髪を
少し乱暴にぬぐいながらとりあえず電話をかける。



『ーーはいよ!どうしたのー?』

『あ、辰巳?今日仕事休み?』

『休み休み!なんでー?』


1発目にかけた辰巳が運良く
仕事休みだったらしく、


『今から家行くからよろしく!』


少しだけ早口でそう言った俺に
辰巳は快く返事をしてくれた。







『ええええええええ〜〜』


鳴らしたインターフォンに反応して
玄関のドアを開けてくれた辰巳は、

肩に彼女を担いで立つ俺を見た瞬間に
目ん玉が落ちそうなほどに
目を見開いて驚いた。


『ちょっと頼みあんだけど』


彼女の身体を支えない左手で持っていた
彼女のバックを辰巳に渡しながらそう言うと、


『え!?なんかの事件!?
誘拐してきたの!?
さすがにそれは嫌だよ俺!!』


何かを勘違いした辰巳が
顔をブンブン横に振るから

革靴を脱いで、
何度も泊まらせてもらった事のある
辰巳の部屋の寝室に向かいながら
この状況を説明した。


『…しょっ!』


ドサッと肩から彼女を投げるように
ベッドに下ろす。


『ちょ!福ちゃん
もっと優しく下ろしてあげなよ!』

『意外と重いんだよコイツ』

『女の子にそんな事言っちゃダメだよ!』

『寝てるから聞こえてねぇだろ〜』

『そういう問題じゃなくて!』


どこまでも女の子に優しい辰巳は


『女の子に重いなんて禁句中の禁句だよ…!』


コキコキ肩をならす俺の後ろで
彼女に布団をかけてあげていた。


『俺仕事中だからとりあえず頼むわ』

『仕事中になに誘拐してんの(笑)』


笑いながら差し出した俺のグーの手に
当たり前のようにグーでタッチする辰巳。


辰巳のところに置いておけば
目が覚めても、途中で熱が上がっても
何かしらやってくれるだろう。


『辰巳』

『ん?』

『手出したら殺すから(笑)』


玄関まで見送ってくれた辰巳に
笑って冗談を飛ばすと、


『福ちゃん、俺ね、
恋より友情取るタイプ。』


同じように笑ってそう返す辰巳に、
頼むわ。と、伝えて会社に急いで戻った。






『…腹減った…』


もう何回言ったか分からない言葉を
口にしながら仕事をする俺に
隣に座る同期が反応する。


『なに悠太、お昼食べなかったの?』

『おー。』

『時間なかったの?』

『ちょっと誘拐してたんでね』

『意味わかんない』

『…さっさと終わらす』


小さく意気込んで積み重なった書類に
手を伸ばした。





いつもより少しだけ仕事を早めに
終わらせて辰巳に電話をかけたら、
もう彼女は目を覚ましてたみたいで、


『今終わったからすぐ迎え行くわ』


ダッシュで駅に向かって、
一度家に戻って
姉ちゃんに車を借りて辰巳の家に向かった。



『お疲れ福ちゃん』

『お疲れ〜』

『○○ちゃん、サッカー観てるよ。
つまんなそうに(笑)』


辰巳の言葉に笑いながら、
玄関から伸びている廊下に目を向けるけど
その先にあるリビングから
彼女が出てくる気配がないから


『おーい。帰るぞ〜〜』


大きく声を出して呼びかけると、
バックを両手で持った彼女が
申し訳なさそうな顔しながらすごすごと歩いてきた。

少しだけ良くなった顔色に安心する。


『調子は?』

『…もう大丈夫』

『なら良かった』


俺の前まで歩いてきて、
下を見つめる彼女から荷物を取って、
辰巳にもう一度お礼を言ってから
外に出たら、


辰巳にお礼を言ったり靴を履いたりした彼女が
バタバタと音を立てながら
俺の後を追ってきた。


慌てなくていいよ、
って声をかけようとした俺の背中に


『…福田くん…ごめんなさい…』


またごめんなさいかよ、って
言いたくなるような声が届いた。


『謝りすぎだから(笑)』


半分呆れながら笑って振り返ると、
彼女はボロボロと涙を流し始めた。


『あーあ。泣き虫だなぁ。』


立ちすくんで泣き続ける彼女の
手首を掴んで、助手席に乗せる。

めっちゃくちゃ泣いてるくせに
グズグズ鼻水をすすりながら
ちゃんとシートベルトを付けていたのが
ちょっと笑えた。





いつまでも泣き止まない彼女。

少しだけ不思議に思う。


なんでそんなに謝るの?

なんでそんなに1人で頑張ってるの?


さっきからごめんなさいばっかり。

だったらありがとうって言って欲しい。


そっちの方が全然嬉しい。


この間のファミレスでの一件でもそうだ。


多分、彼女が下唇を噛むのは
何かを我慢してる時なんだと思う。

言いたいことだったり、
今の現状にだったり、

伝えたいことを飲み込む時に
下唇を噛む。



3年以上前に見かけた時の彼女も
ずっと下唇を噛んでいた。


泣けたなら、

せっかく泣けたなら、


そんな風に泣いて欲しくない。

もっと安心感の中で泣いて欲しい。






そう思って言葉をかけた俺に、
彼女は全てを話してくれた。







最初は我慢していた声も
どんどん涙声になって、

最終的には聞き取れないくらいに
しゃっくり交じりになった声と、
俯いて一生懸命俺に話してくれた彼女を
強く抱きしめてあげたくなった。


今までずっと頑張ったねって。

3年前から俺は君が頑張ってたこと
知ってたのに…

早く助けてあげられなくてごめんねって。


抱きしめて伝えてあげたくなった。




でも、そんなこと出来ないから
顔を上げた彼女に笑顔を向ける。


『そうだとしても、頑張り過ぎだよ。』


ハンカチなんて持ってなかったから
スーツだったけど、
袖を使って彼女の涙をガシガシ拭いた。


鼻水を垂らす泣き腫らした彼女の顔が
あまりに不細工で、


『不細工だなぁ』


って言いながら、
もう抱きしめちゃおうかなって
思ったけどやっぱりやめた。








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次回、「福田くんの続き書くために前回の話読み返したら最後に、幸せ過ぎてそろそろ私の身に何か起こるんじゃないかと思ってる的なこと書いてあって、本当に死活問題起こっちゃってんじゃん。なにそれ予知してたのかよ私。プププ、ウケる。いや、笑えねぇ。全然笑えねぇよ。とか言ってたら世の中GWだよ。みんなどこ行く何するエイトフォー。私は早速工場夜景を観に行って癒されてきたよ福田くんも一眼レフで工場夜景撮ってたね今度一緒に行こうねスペシャル」やります。


サンキューサンキューでーす。