さう日和。

ファニーフェイスなオナゴ。ジャニーズ中心生活。

ふっかとあたし。


ヤンキー岩本くんの中の
ふっかと主人公ちゃんのお話。

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『○○さんって
ふっかと付き合ってるんですか?』


放課後、昇降口でふっかを待っていたら
いきなり知らない女子に声をかけられた。



今日は元々、ふっかと岩本くんと3人で
新しくできたカフェに行く予定だった。

そこのパンケーキが絶品らしいって
うわさを聞きつけた岩本くんが
3人で行こうって声をかけてくれて。


でも、自分から誘ったくせに
筋肉バカな岩本くんは


『俺今日ジムなの忘れてた』


とか言ってドタキャンしやがって…

でももうパンケーキモードに
入ってたあたしが
パンケーキ食べたいパンケーキ食べたいって
ギャンギャン喚いたもんだから
ふっかと2人で行くことになった。


だからクラスの違うふっかと
放課後待ち合わせるために
昇降口でふっかを待ってたんだけど…




『…はい?』

『よく2人がカフェにいるところ見かけたって
いろんな子が言ってるんです…』


なんだか面倒くさいことに
巻き込まれてるっぽい始末。



その子は今にも泣きそうな顔をしながら
手を震わせてあたしにそう言う。


このシチュエーション、見たことある。

現実世界では見る…
っていうか経験するのは初めてだけど。


こーゆうこと本当にあるんだな。

漫画とかドラマであるやつ。


この子、ふっかのことが好きなんだ。


『ど、どうなんですかッ!?』


いつまでもボケっとした顔で
反応しないあたしに
その子のボルテージが少しずつ上がっていく。


『どう…って?』

『ふっかと付き合ってるかどうかです!!』

『…そんなおっきい声出さなくても…』


思わず少し笑いながら
そう言ってしまったあたしに
その子の隣でずっとあたしを睨んでた
別の女までボルテージを上げて喚いてくる。


『てゆーかあんたのその態度なによ!!
この子がどんな気持ちか分かってんの!?』

『……』

『この子1年の時から
深澤のことが好きなのよ!!』

『……』

『それを急に現れて2人で仲良くして!!』

『……』

『ちょっと聞いてんの!?』

『……』

『うんとかすんとか言ったらどうなのよ!!』

『すん』

『あんたねぇ!!!!』



付き添いで来た女の怒鳴り声に、
ついに今まで泣きそうに
手を震わせていた子が泣き出してしまった。


泣く女に喚く女。


面倒なことに巻き込まれた、本当。


当の本人のふっかは未だに
来やしねーし。


ふっかのせいで大変なことになってるから
早く来いってラインを送ろうと、
ケータイをポケットから
取り出そうとした瞬間に


『…あんた、岩本照とも
2人で遊んだりしてるわよね』


付き添い女が口を開いた。


ん?

なに?



そんなの当たり前じゃん。


3人で仲良くしてんだもん。




ふっかがバイトの日は
岩本くんと2人で放課後遊びに行くし、

岩本くんがジムの日は
ふっかと2人でカフェに行くし、


だからあたしが用事ある日…

は、あんまりないけど、


部活顔出すから先に帰っててって
言った日とかは

男2人でゲーセン行ったり
してるみたいだし。


友達ってそんなもんでしょ。


それがどうしたこの女。


そんな目で睨んできて。



『深澤に岩本に…あんた男好き?』



その言葉に、全てを悟った。


低レベルすぎる、この2人の女の脳ミソ。



『岩本はどうかしらないけど、
深澤はみんなに優しいんだよ…
あんただけじゃない!』

『……』

『それにこの子は、1年の時から…ッ』

『だから何?』

『は!?』

『1年の時からふっかの事好き。
だから何?』

『な、何って…』

『あたしじゃなくて
ふっかに言うべきことあるんじゃないの?』


あたしのその言葉に、
泣いてた子は赤い顔をもっと赤くする。


『それに、あたし
ふっかとは付き合ってないよ』

『…じゃあ2人で会ったりしないで…ッ』


涙をこぼしながら、
反論してくる。

でも、ごめんね?


『やだ』

『…え?』

『それは出来ない』

『なんで?』

『友達が2人でカフェに行っちゃダメなの?』

『…でもッ』

『あたしとふっかは一生友達よ』

『…ッ…』

『あたしはふっかと付き合ったりしたくない』

『……』

『ふっかはたとえあたしが性転換して
男の姿で目の前に現れても
今と変わらず接してくれる。』

『……』

『男の姿になったあたしにも
カフェ行こうって言ってくれるの。』

『……』

『そんなふっかと付き合ったりしたくない』

『……』

『彼氏彼女なんて関係になりたくない』

『……』

『ふっかのこと、1年の時から好きなら
あたしの言いたい意味分かるよね?』


深く頷く女の子。


『だからあたしとふっかは一生友達』

『……』

『あたしに構う暇あったら、
ふっかに直接言うべきことあるでしょ』


それだけ最後に口にして
その場を立ち去った。



ふっかのことは心の底から尊敬してる。


だからこそ、

付き合ったりしたくない。


一生友達でいたい。


親友でいたい。



岩本くんに対する気持ちとはまた違う。


ふっかにだけ抱く、気持ち。





ふっかのことが、


友達として大好きだから。





さっきの女の子には悪いけど

ふっかと2人で会ったりしないでなんて
無理な話。



昇降口から少し離れて、
もう誰の目にもつかないとこまで歩く。


さっきまでは余裕たっぷりに
振舞ってたけど

1人になった途端、
気が緩んで少し涙が溢れてきた。


『…ッ、』


制服の袖を目に当てたあたしのポケットで
ケータイが鳴った。




深澤辰哉:ごめん!下痢!


深澤辰哉:もうちょい待ってて!!




さっきまで溢れていた涙がカラッと乾いて、


マジで感動返せって思った。





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岩本くんの元カノちゃんが現れる
1ヶ月くらい前の時期に起こった話。

ふっかとあたしの関係性のお話。