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さう日和。

ファニーフェイスなオナゴ。ジャニーズ中心生活。

ハッピーマンデー。


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毎週月曜日だけ…


朝早く起きて
ちゃんと髪の毛セットするのも

ブレザーに猫の毛がくっ付いてないか
確認するのも

鏡の前で可愛い顔で
挨拶する練習するのも


全てはこの一瞬のためなの。






『おはようございます!』

『お、おはようございます…ッ』











『おはよー!!!!』

『朝からうるせぇ』

『挨拶したんだから挨拶し返せ!
挨拶は人と人を繋ぐ基本!!』

『…あぁ、そっか。月曜日か』

『イエッス!マンデー!』

『黙れとしか言いようがない』

『ダウニーったら今日もドSなんだからっ』


朝とは思えないテンションで
喋りながらカバンを肩から下げる
あたしの隣の席で
気だるそうにケータイをいじる友達、
ダウニー。


家で使ってる柔軟剤がダウニーらしく、
ダウニーの匂いがする彼女を
あたしが気まぐれでダウニーって
呼んだところ、クラス全員に感染して
今やすっかり定着したそのあだ名。

彼女はあまり気に入っていないようで
ダウニーって呼ぶたびに
少し嫌そうな顔をする。


『今日もあいさつ出来たの?』

『したね!そりゃもうしまくったね!』

『それはそれは』


聞いてきたくせに
心底興味がなさそうなダウニーは
また目線をケータイに戻して
テシテシと操作する。


あたしの学校はなぜか毎週月曜の朝は
“あいさつ運動”なるものが行われて、

生徒会の人たちが、
朝早くから校門の前に立って
おはようございますと大きな声で
登校してくる生徒にあいさつをするのだ。


第一ボタンまで閉められたワイシャツ。

膝下のスカート。

肩から下げられた
“あいさつ運動”と書かれたタスキ。


何あのダッセェ格好!!


あいさつ運動が始まってすぐ、
生徒会の人たちは、
一般生徒の笑いの対象でしかなかった。


無論、あたしも馬鹿にしてた。


わざわざ朝早く来て、
喋ったこともない
どの学年かも分からない相手に
笑顔であいさつして…

あいさつし返してる奴なんて
見たことなかったし、
こんな事する意味あんのかよって。


…でも、ある日変わった。


遅刻しそうになって、
校門まで走りながら向かってた時だった。


その日も月曜日で、
生徒会の人たちがあいさつ運動してて


んだよ!こちとら遅刻しそうなんだよ!!

って思いながら
その前を駆け抜けようとした瞬間。


盛大に段差につまづいた。


『…アッ…』


口に出した瞬間にはもう身体は
宙に浮いてて、


…転ぶ…ッ!


目を閉じたと同時に、身体をガシッと
半分抱かれるように支えられた。


『…ッと…大丈夫?』


あたしのアホみたいによろけた
身体を支えてくれている
細いけどたくましいその腕をたどると、


綺麗な目をした爽やかな青年が、
そこにはいた。


『…オッフォ…』

『遅刻しそうでも、走ったら危ないよ』

『…ハヒ…』

『うん、おはよう』

『オハヨーゴバイマフ』


あたしの記憶が覚えているのはそれまで。


そこからどうやって教室に行ったのか、

どうやって1日を過ごしたのか。


全くもって覚えてない。


ただ、アレからあたしの中で
彼が忘れられない存在になって…


『阿部くん…今日も最高に爽やかだったぜ…ッ』


生徒会長の阿部亮平くんに
毎週月曜日にあいさつする事に
命をかけるようになってしまった。


『へいへい』

『こう…なんていうかね、
阿部くんの周りの空気は澄んでるの!』

『へいへい』

『淀んだものが一切ないのよ!』

『へいへい』

『キラキラしてて、マイナスイオンたっぷりで…』

『ヒェヒェヒェ!!!』


軽く1時間は続けられるだろう
あたしの阿部くんの爽やかさに対する熱弁が
不快な引き笑いでかき消される。


『お前それ素で言ってんの?
恥ずかしくねぇ?』


人を指差しながら
引き笑いで笑う男。

薄顔で細身で、
女子からやたら人気のある男。


『人間からマイナスイオンなんて
出ねぇから!』

『翔太マジうるさい。』

『他の曜日みたいに月曜も
猫の毛くっ付けて登校してこいよ!』

『黙れ薄顔』


どんなに睨んでも、
引き笑いが止む事はなく

阿部くんに幸せにしてもらった
気持ちが台無しになる。


『翔太、○○超怒ってるよ』


ダウニーのその言葉に、
やっと笑い声を止めたこやつは
あたしの肩をポンと叩く。


『んな怒るなよ、な?』

『来世まで呪ってやる〜
来世ではもっと薄顔になってしまえ〜〜』

『ダウニー、こいつ別に怒ってなさそうだわ』


ダウニーと翔太、3人で
顔を見合わせて爆笑する。


つるんでるメンバーは
それぞれ違うけれど、

席が近くていつも朝の時間は
この3人で喋ってる。


そんな朝の時間がすごく好き。


特に月曜日の朝がすごく好き。

1週間が始まる憂鬱よりも、
素敵な事がたくさんある月曜日の朝が
すごく好き。







そう思える日を、月曜だけじゃなくした
きっかけはあたしの頭の悪さだった。







***





放課後の教室にひたすら響く
シャーペンの音。


コツコツ。


コツコツコツ。



『やってらんない…』



今日の2時間目。

数学の授業。

マジでさ、

小テストなんて聞いてない…。



いきなりの小テスト。

しかも30点以下は再提出とか。


ついてないにも程がある。


しかもなんで急な小テストなのに
みんな30点以上取れるのさ。


どんなに腹ん中で不満を垂らしても
日頃から勉強してない自分が悪いのくらい
分かってるから、
ひたすらにシャーペンを動かすしかない。


でも

分からないものは分からない…


『これじゃ一生再提出出来ない…』


翔太に助けを求めたのに


“そーゆうのは全部教科書に
説明が載ってんだよ”


って言ってさっさと帰っちゃったし…


書いては消してを繰り返した
用紙はもうくったくた。

新たに文字を書く気も失せる。


もうすっぽかしちゃおっかなー、

なんて思った時、
教室のドアからひょっこりと
顔を出す男の子と目が合った。


『下校時間…もう直ぐだよ?』


え?と、思って時計に目を向けると
確かに下校時間まで30分もない。


…でも…再提出…


そう思いながら机の上の
用紙に手を向けると、

目がくりくりした小柄な可愛い男の子が
あたしの机の前まで歩いてくる。

あたしと同じ上履きの色…


同じ学年なんだ。
年下かと思った。


『22点…』


テスト用紙を覗き込んで
点数を普通に口に出すから
思わずその無神経さに彼を睨むと、


『再提出なの?』

『…はぁ、…』

『数学…の、基本問題だね…』

『……』

『ふーん、俺も分からないや』


…つ、使えねぇ!!!


なんか物言い的に
分かるのかと思ったわ!

期待して損した!


でもこの見ず知らずの男の子に
期待すること自体間違い。

さっさと終わらせなきゃ
本当に下校時間が刻一刻と迫ってる。


くっそー。と、思いながら
シャーペンの芯をいつもより
少し長めに出して

その数字に取り掛かろうとした瞬間に…


『佐久間、ここにいたの?』

『阿部ちゃん!』


鼻から汁がぶっ飛んだ。


ギョベベベベべべ!!!!!


『どこに行ったのかと思ったら…』

『ごめんね〜』


あ、あっあっあっ、ああああ
阿部くんが…

阿部くんがいらっしゃる。


あたしの目の前に、

阿部くんがいらっしゃる。


『なんかね、再提出の小テストが
終わらないんだって』


て、てめぇ!
何言いふらしてんだ!!


さっき阿部くんに佐久間と呼ばれた
小柄な男子は
あたしの恥部をあっさりと
阿部くんに公開する。


『小テスト?』

『数学の小テストらしいよ』

『そっか…』

『そうだ!分からないなら
阿部ちゃんに見てもらえば?』


さっきからこいつ…

マジでちょっと待てや。


焦りと緊張でひたすらに
目を泳がせまくるあたしに、


『俺なんかで良ければ』


ガッテン!
俺なんかなんて!!!


阿部くんはやっぱり
マイナスイオンたっぷり。

優しすぎる。


『ちょっと見せてね』

『…あ、ハィ…』



お、お、お、

お、恐ろしい…!

あたしのアホ満載な答えが並んでる
回答用紙を阿部くんに見られるなんて…!

無理!無理!もう無理…!



丸裸にされてる気分だよ…


丸裸にされてる気分だよ…!!!



ああ、もう嫌だ。

なんでよりによって!


あの…!

あの憧れの…!

マイナスイオンたっぷりな阿部くんに
あたしは22点の小テストを
披露してるんだぁぁッッ!!!


『ぜ、全然出来てないっすよねぇ…イヒヒッ』


目の前にいる憧れの人にテンパって
いつもの3割り増しでキモくなるあたし。


あーもうなんだってんだ。

なんなんだよこの拷問タイムは。

帰りたいぃ…帰りたいよぉ…


『いや、全然出来てなくないよ?』


しかしこの時間よ…永遠に続け(単純)



あたしの22点のアホ回答用紙を
じっくり見た阿部くんは、

にっこりと笑いながらそう言うと


『ちょっと借りるね』


と言って私のシャーペンを握って、


『ここだって、代入の仕方を間違えただけで
解き方自体は合ってるよ?』


優しく言いながら、
正しい数式を書く。


端っこの方に薄めの筆圧で書くところが、
真面目で優しい、阿部くんらしいな…
なんてふと思った。


『…ほら、ここも。
大丈夫、出来てるから、』


優しすぎるくらい優しい阿部くんは
それから下校時間ギリギリまで
1つ1つの問題を丁寧に教えてくれた。


佐久間はその間、
ケータイでアニメを見ていた。


『あ、あの…ああありがとう…』


全てを綺麗に直した小テストを手に
挙動不審にお礼を言うと、

阿部くんはニッコリ笑って


『気をつけて帰ってね』


と言ってくれた。


佐久間はその隣で、
ケータイでアニメのアプリをやっていた。













『…って事があったの!!!』

『フーン』

『聞いてんのかよ!!』

『聞いてねぇよ』

『聞けよ!!』

『もう4回聞いてやったんだから
聞かなくてもいいだろ。
お前その話5回目なんだよ。』

『10回でも100回でも聞け!』


次の日、あたしは嬉しさのあまり
放課後帰ろうとしてる翔太を
とっ捕まえて、
昨日のことをひたすらに話していた。


『大体お前なぁ』

『……』

『ちょっと喋ったくらいで大袈裟なんだよ』

『……』

『しかもあんだけ挨拶してたのに』

『……』

『阿部くんに覚えてもらえて
なかったっぽいじゃん』

『……』

『阿部くんになんも言われなかったんだろ?』

『……』

『挨拶してくれる子だよね?とか』

『……』

『…おい?』

『…え?あぁ、ごめん。
阿部くんとの思い出にキスしてた。』

『…ちょっと本気で気持ち悪ぃよお前』


ガチでドン引きする翔太に
ドゥフフと笑うあたし。


全く、分かってないなぁ翔太は。

やれやれ、
これだからモテる奴は。


覚えてもらってたとか
もらってなかったとか、
そんなのどうでもいいんだよ。

阿部くんという存在が癒しなんだから。



『いい加減マジで帰りてぇんだけど…』


ザコンな翔太はすぐに家に帰りたがるから、
さすがにこれ以上あたしの自慢話を
聞かせるのもかわいそう…

今日はこれくらいにしといてやるか。


自分たちの教室を出て、
もう生徒がほとんど残っていない
廊下を歩いていると


『きっと他校の彼女にも
それ以上に優しくしてるよ、
生徒会長さんは。』


…は?


翔太の口からよく分かんない言葉が聞こえた。

思いっきりアホ面で
翔太を見つめるあたし。


『…なんだよ』

『…え、』

『…え、お前知らねーの?』

『……』

『普通に有名じゃん。
生徒会長同士で付き合ってるって』

『…知らない』

『M女の生徒会長とウチの生徒会長。
美男美女でお似合いって』

『…M女…』


M女といえば県内で有名なお嬢様学校。

頭もビジュアルもレベルが高くて、
そこに彼女がいるとなれば
男たちの間ではヒーロー的存在に
なれるとかなれないとか。


…そしてそのお嬢様学校の生徒会長となれば
それはもう自分とは比べなくても分かるくらい
雲泥の差な訳で。


『おい、泣くなよ』

『…うっ、う…』

『ちょ、えっ、マジで』

『ああああ〜〜ッッ』


阿部くんと何か始まってた訳じゃないし、
これからもきっと
何も始まる事はなかっただろうけど

舞い上がってた自分に
恥ずかしさと、

心のどこかで期待してた自分に
惨めさを感じて

ボロボロと泣き始めたあたし。


『嘘だろ…』

『バカァァァ〜〜ッッ!!!』

『……』

『翔太のバカァァァ〜〜ッッ!!!』

『…はぁ…』

『言わなくてもいいじゃんか〜〜ッッ!!!』


120%悪くないのに、
目の前にいる翔太に
当たることしかできなくて
それがまた余計に涙を増幅させる。


『翔太のアホクソ〜〜ッッ!!!』

『ごめんって。
俺が悪かったから、ごめんって。』

『反省が足りん!反省が足りん!!』

『ええ!?』

『本当に悪いと思うなら
阿部くんの毛髪を献上しろ!!!』

『んなの無理だろ!!!』


もはや泣き止むタイミングを失ったあたしは
自分でも着地点が分からなくなって
ワァワァと泣き喚く。

すると困り果てていた翔太が


『…ごめんってば』


何故かあたしを抱き締めてきた。


『!!???』

『まさかお前が知らないと
思わなかったからさ』

『…は!?え、ええ!!?』


男の子に抱きしめられたのなんて
初めてで、どうしていいか分からずに
ひたすらに硬直するあたし。


それに反して、
女の扱いなんて腐るほど慣れてる翔太は
さらに強くあたしを抱きしめる。


『…しょ、翔太…』

『なに?』

『ち、近い…ッ』


顔を覗き込んでくる翔太が
恐ろしいほどに近い。

普段バカにしてる薄顔が
数センチ先にある。

本当に近い。


『うん』

『近い近い近い』

『なんかさぁ…』

『近い近い近い近い近い近い近い近い近い近い』

『キスしてぇんだけど』

『はぁ!!!!????』


意味不明な発言に
振り回される。


『だって翔太あたしのこと
別に好きでもなんでもないでしょ!?』

『うん』

『じゃあなんでよ!!』

『俺だって分かんねぇよ、
なんで毛髪欲しがるような女に
キスしたくなったのか』


こんな変態…って言いながら
呆れ笑いする翔太は

たった数センチしかなかった間を
もっと詰めてくる。


『いぎぎぎぎぎ』

『んな声出すな、萎えるから』

『いや、むしろ萎えて欲しいんですけど!?』

『俺にそんなこと言うの、お前くらいだよ』


その言葉を最後に、
視界が翔太の顔でいっぱいになって

翔太の香水の匂いと、


唇に柔らかい感触を感じた。






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一話完結型。


完全にノリと勢いだけで書いてみた。

渡辺くんっていいよね、
薄い顔なのにチャラチャラしてる感じが。


『ホラ、俺顔もいいし人気もあるじゃん?』


とか普通に言ってきてほしい。


そう言われて、


あれ?これは殴れって合図かな…?


とか思いながら日々を過ごしたい。


女の子の事はみんな下の名前で呼ぶくせに
私のことだけは名字で呼んで欲しいなぁ。

(そこに深い意味はない)


パリピ最高に似合ってたなぁ。

けんちゃんしょうちゃん。