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さう日和。

ファニーフェイスなオナゴ。ジャニーズ中心生活。

Love Liar 【1】

ジャニーズ 妄想


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イムリミットは、
もうとっくに過ぎていたと思う。


彼は震える両手で
私を抱き締めながら泣いていた。

彼にこんなに強く抱きしめられたのは
初めてだった。


「嫌いになったわけじゃないんだ…」


今にも消えそうな、
小さな声で何度もそう言う。


「嫌いになったわけじゃない…
本当に…これは嘘じゃない…」


しつこいくらいに
繰り返されたその言葉の後に、

少しの嗚咽と、
大きな呼吸。




「でも、もう前みたいに想えないんだ…」


半年前に、
私は1年3ヶ月付き合った相手に
そう言われて振られた。












目の前には純白のドレスに身を包んで
幸せそうに微笑む花嫁姿の友達。


前後左右から聞こえる
祝福の声の中を
ゆっくりゆっくり歩いていく。


泣きそうになるのをこらえて
笑顔で大好きな人に
寄り添いながら微笑むその姿は

今まで見てきた彼女の中で一番綺麗。



私が座る丸テーブルには
自分を含めて6人の女の子。

全員今日の主役である
花嫁の高校時代の部活のチームメイト。


みんな夢中になって
主役の姿をケータイで撮影している。

その鳴り止まないシャッター音と
感動的なBGMを聞きながら、

私は広い披露宴会場を
ぐるっと見渡した。


すると、花嫁の手から放たれたブーケを
先ほどめでたくキャッチした女性が
ブーケを自分の頬に添えて、
アヒル口で自撮りをしている姿が見えた。


「…若いね」


私の左隣りでさっきまで
パシャパシャと写真を撮っていた友達が
ケータイをカバンにしまいながら
ボソリと呟いた。


「あ、同じとこ見てた?」


私と同じ方向を見ながら
話す友達の口元には
少し意地悪そうな笑みが浮かんでいて、


「うん。だってあの女目立つ」

「ははっ」

「あれインスタにあげるぜ、絶対」


その口から出る言葉も、
なかなか意地悪。


ハッシュタグとか付けてんだよ」

「たとえば?(笑)」

「#ブーケ取っちゃった♡」

「あるある」

「#次はわたしの番」

「あははっ」

「#絶対幸せになるぞ」

「お腹痛い…ッ」

「#今日は幸せいっぱい分けてもらうんだから」

「やめてほんと笑えるッ」


半泣きで声を出さまいと
笑う私に止まることをしない友達。


「マジあの女
主役の花嫁より目立ってる」

「確かにね」

「ブーケ取れたら次結婚出来るなんて
迷信だって教えてやろうかしら?ん?」

「あれ、あなたブーケキャッチしたの
先月にあった結婚式だっけ?」

「そうだよ」

「彼氏すら出来てないじゃん」

「うるせぇ」

「うわ、口悪っ」


ゲラゲラ笑う私の顔を見て、

意地悪そうな顔をしていた
友達の眉毛が少しだけ垂れた。


「…あたし達の中でさ…」

「ん?」

「あたしたちの中で…
一番最初に結婚するのは
○○だと思ってたなぁ…」


友達がそう口にする。


その言葉に一瞬だけ目線を落として、

すぐに曖昧に笑ってごまかす私。


そう思っていたのも、
無理はないと思う。


20代後半。

お互い社会人。

付き合って1年3ヶ月。


結婚する条件はそれなりに
満たしていたと思う。


周りから見た私たちは
“素朴”とよく言われていた。

素朴で素敵な2人だ、とか

素朴な感じがいい、とか


そもそも素朴ってなんだよって思ったけど、
それは結構な褒め言葉だったらしく


無印良品の家具とかって素朴じゃん。
あんな感じなんだよ」


という、友達の独特すぎる要約に
少しだけ納得したことも覚えてる。



その“素朴”がどこまで関係しているかは
分からないけれど、

結婚するだろうと思われていた私達が
別れた時はそれはもう質問の嵐で…


「なんで別れちゃったの?」


今でもこうしてよく聞かれる。


「…ん?」

「いい人だったじゃん、相手の人だって」

「うん。いい人だったよ」

「じゃあなん…」


友達の質問の声が、
司会者の大きな声で遮られた。


正直、助かったと思った。



なんで別れたか。


彼が私を前みたいに想えなくなったから。


だから別れた。

でも、彼のその言葉の裏には
私の誰にも言っていない
秘密のコンプレックスがあって…


その秘密は
ちょっと…いやだいぶ

人に言いたくない。






暗くなった会場と一緒に
少しだけ気持ちが落ちていた私に、

今度は右隣りに座っていた
友達が話しかけてくる。


「…ねぇねぇ、
あの子、お色直しのカラードレス
何色選んだか知ってる?」

「え、知らない。」


さっき花嫁が退場して行った
扉の方に視線をやりながら
そう答えた私に続いて、

左隣りの友達も、
聞いてないな〜と答えた。


「○○ちゃん達も知らないか〜
あの子全然教えてくれなくてさぁ」

「ある意味サプライズだね」

「みんなで何色か想像してたの」

「因みに何色って想像したの?」

「ネイビーとか、明るめのブルーとか」

「うわ〜あの子選びそう」

「でしょ!でしょ!
…で、2人は何色だと思う?」


ワクワクしたような可愛い顔で
聞いてくる右隣りの子に反して、


「純黒!華やかな式にあえての純黒!!」


ゲラゲラと笑う左隣りの友達。

その正反対さに挟まれて
ついつい私も吹き出す。


「真面目に考えてよっ
じゃあ○○ちゃんは?」


学生時代から小物は全部
ブルー系だった花嫁。

ネイビーもブルーも
他の子が言ってるみたいだし、
もう選択肢ないじゃん…

ならもう絶対あの子が
選ばないような色でいいや。


そう思って、


「黄色」


って答えた。


1番ありえない私の回答に
丸テーブルみんなして笑った。


正直ドレスの色なんてどうでも良かったから
目の前にあったクロワッサンを
むしゃむしゃ食べていたら、


「○○!○○!」


右隣りから私の名前を呼ぶ声に、

ライトが当たった大きな扉の先を見ると…


「…わぉ…」


お花をたっぷりあしらった、
黄色のAラインドレスを身に纏う
花嫁の姿があった。

















目の前にある綺麗な色のカクテルを
喉に流し込んだ私の横で


「純黒着て欲しかったわ〜」


理不尽な友達の声が聞こえた。


「純黒ってぇ」


そんな理不尽さを全く気にせず
のほほんと答える花嫁。

さっきまで着ていた華やかなドレスから
ラフなワンピースに着替えている。

そのワンピースの色は、
やっぱり彼女が昔から好きなブルー系。


「賭けてたりなんてしたら
○○のひとり勝ちだったんだから!」

「わたしの結婚式で賭け事しないでよぉ」

「してたらの話よ、してたらの!」

「…でも○○ちゃん、すごいねぇ!
まさかドレスの色当てられちゃうなんて
思いもしなかったよ!」


私の方にくるりと向き直した花嫁が
キラキラした顔で見てくる。


「賭けてたらいくら貰えたんだろ、私」


わざとらしく大きくため息を
付きながらそう言った私に
花嫁がもぉ〜〜ッ!と大きな声を出すと、


「何騒いでんの」


いきなりの花婿の登場に
みんなビックリしたまま固まった。


今回のこの式で、
初めましての花婿さんは

噂に聞いてた通り、
優しそうな素敵な人だった。


「今日はみんな来てくれて
本当にありがとうございます。」


私たちより年上の花婿さんは、
柔らかい笑みを浮かべながら
私たち一人一人の顔を見てそう言った。

どこまでもデキるこんな男性を
のほほんとした花嫁が
なぜに捕まえることが出来たのか…

すごく不思議に思った。


そんな落ち着いた花婿さんの隣で


「ねぇ!聞いてぇ!
○○ちゃんがドレスの色当てたの!
誰にも当てられないと思ったのに!!」


花嫁が興奮しながらはしゃぐと


「えぇ!?俺の他にもいたの!?」


今度は花婿さんとは別の男性が
花婿さんの背中から
ひょっこりと身を出しながらそう言った。


「え!?○○ちゃんの他にもいたの!?」


花嫁が同じ言葉を使ってそう返すと、
身を出しながら驚いていた男性は、


「うん、俺も黄色って予想してた!」

「ええ〜〜結構当てられない
自信あったのにぃ…」

「なんかすごいね」


花嫁と会話しながら
私たちの輪の中に自然に入ってきた。


花嫁の視線で、
ドレスの色を当てたのが私だと
分かったらしい彼は

私の方を見ながら


「これも何かの縁かもね」


なんてナンパ台詞っぽい事を言って来た。




黒髪なんだけど、
オシャレにカットされた髪。

くりっとした目が可愛いのに、
筋肉質なのがまたギャップになってて…

まぁいわゆるイケメン。

モテそうなイケメン。


そんな雰囲気の人だった。



「俺、こいつの高校の時の同級生!」


花婿さんを指差しながら言うその人に、


「あ、私もこの子の
高校の時の部活のチームメイトで」


そう答えて、
今から始まる会話に
少しだけ甘い期待をしていたら…


「せんぱぁい!
向こうでみんなが呼んでますよ!」


猫なで声を出した女が
彼の腕に自分の腕をするりと通した。


「…インスタ女じゃん…」


私の隣で、私にしか聞こえない声で
友達がそう言った。


「はいよ、行く行く」


インスタ女に引っ張られながら
じゃあまたね!と、笑って
離れて行くイケメン。


「…あの男、モテそうだと思ったけど
案の定おモテになるのね」


友達のその声に頷きながら、

インスタ女になんかムカついたから
一度だけ振り返って手を振ってくれた彼に
しっかり手を振り返しておいた。



















私の目の前でビールジョッキを
ゴクゴクと煽る男は、


「やっぱりムカつくなぁ!!!」


テーブルに空になったジョッキを
ドンと勢いよく置きながらそう叫ぶ。


ツンツンにセットしていた
金髪に近い茶色の髪も

だいぶ酔いが回ってるのか
今ではもうぺしゃーっとしている。


「声の音量下げてね、ニカちゃん?」


私が言っても多分耳に入ってない。


私の数少ない友達。

の、中の唯一の男友達、ニカ。


さっき店員さんが運んできてくれた
追加のビールに手を掛けながら
プリプリとしゃべり続ける。


「○○は優しすぎるよ!
あんな最低なこと言われて怒らないなんて!」

「…そう?」

「なんであんな冷静でいられたのか
俺には分からない!」

「そうだね。しいて言えば
…誰かが私の首っ玉に抱きついて
泣きながらすっごい怒ってくれたからかな?」

「んぉ?」

「それでスッキリしちゃったのかも」


さっきまで怒ってたのに
ニンマリ顔になったニカは


「なんだ〜俺のおかげか〜」


と、満足そうに笑っていたから


「その節はありがとう」


って言ったあげた。



ニカにだけは全てを話した。

振られたことも、その理由も。


すごく惨めで恥ずかしかったけど、
ニカはしっかり受け止めてくれて、


私は悪くないって言ってくれた。

私のために大粒の涙を流してくれた。


そして今でもこうして
私のために怒ってくれる。


だけど…


「でも本当にありえない」

「向こうも根気強く我慢してくれてたよ」

「それでもありえない」

「まぁ、終わったことだし」

「ヤらせないから別れるなんて!」




…口に出すのはやめてくれ。


「……」

「信じらんないよ」

「……」

「しかもそれを本人に言っちゃう?」

「……」

「別れる理由として言っちゃう?」

「……」

「確かに何回も拒否られて
悲しくなる気持ちも分かるけどさ」

「……」

「だってしょうがないじゃんね?
○○処女なんだもん!」


酔っ払っているから
恥ずかしげもなくハッキリそう口にしやがる。




そう、

私の秘密のコンプレックス。


ニカしか知らない、

私の秘密のコンプレックス。




私は、

実は、

純潔だ。



文字通りの純潔。


20代後半だけど。


生娘ちゃんなのだ。



信じてもらえないかもしれないけれど、


あり得ないと思うかも知れないけれど、


私は正真正銘の処女だ。






元々、男の人があまり得意じゃなかった。



怖いとかそういう訳じゃなくて
話しかけられたら話すけど、


私から話しかけたりしないし、

2人っきりとか出来れば避けたい。



ニカだけは平気だけど、

他の男の人に対しては
そんな感じ。




そんなこんなで年齢イコール彼氏いない歴
ずっと刻んできた私。

だけど結婚を匂わせ始めた周りに
一種の焦りを感じて
なんとか彼氏を作ることに成功した。


男の人を苦手だと思っておきながら
好意を向けられるのは嬉しいみたいで
告白されてちゃっかり首を縦に振った私と

私をちゃんと好んでくれて
告白してくれた彼とのお付き合いは
そりゃもう、前途多難だった。


価値観の食い違いなんて当たり前だし

そのくらいはもはやもう
可愛いもんだった。


そのせいか頭では分かっていることでも
なかなか気持ちが追いつかなくて

彼からの誘いを断り続けていたら


「○○が分からない…」


その言葉から始まった彼の吐露によって

振られた。



怒ってくれているニカには感謝してるけど


いくらそういう経験がなかったとしても
1年3ヶ月も拒否られ続ければ

“前みたいに想えない”

そんな気持ちを抱くのも仕方ないと思う。




少ししんみりした気持ちで
もう溶けた氷水で薄くなったお酒を
飲む私の前で、

さっきまでビールをがぶ飲みしてたニカが
気持ちよさそうにうつらうつらとしていた。


「ニカ、そんなんで家帰れるの?」

「このまま友達ん家泊まる〜」

「え、そんな状態で泊まりに行くの?
友達迷惑じゃない?」

「大丈夫〜いつも○○に話してる友達だから」

「あーいつもニカの話に出てくる」

「そう〜親友〜」


親友だとしてもそんな泥酔じゃ
本気で迷惑だろうな…


「じゃあそろそろ帰る?」

「…ん」

「大丈夫?」

「…呼ぼ…」


電話を取り出したニカは、
どうやらその親友を
迎えに来させるみたいで


「あ?もしもし〜?
うん、そういつものとこぉ〜〜」


ベロンベロンに酔っ払いながら
話すんだけど


迎え〜とか、

いつものとこぉ〜〜、


しか言わないニカのせいで
どうも話が通じ合ってないみたいで、


「ちょっと貸して!」


見かねて、ニカから携帯をひったくった。


「もしもし?」

『え、あ、もしもし…』


電話の相手がいきなり変わったことに
びっくりしたのか、
少し困惑気味の声が
向こうから聞こえた。


「あの、近くに大きい病院がある
漁火っていう居酒屋なんですけど、」

『あ、今向かってるんでもう着きます!
家近いんで、』

「分かりました。じゃあお店の前に立ってます」


スムーズに話が進んで
電話を切った。


もう机に突っ伏してるニカ。


「ニカ?ニカ?」

「んん?」

「お友達もう来てくれてるみたいだから、
ちょっとお店の外まで
迎えに行ってくるから待ってて?」


ペシペシとほっぺを叩きながら言うけど
半分寝落ちしてるっぽいニカに、


「寝ないでね!寝ないで待ってるんだよ!」


強めに2、3度ほっぺを叩いて、
お店の外に出た。


もうすっかり冬になった
冷たい空気が鼻をかすめる。


外の寒さに少し身を震わせながら
下を向いて待っていると…


「あの〜ニカの…」


控えめな声が聞こえて、

顔を上げたそこには


「…え…?」


この間の結婚式で、
私の他に唯一ドレスの色を当てた

あのイケメンが立っていた。


目を見開いて硬直する私の顔を見て、
彼も私に気づいたようで

私と同じように少し目を見開いた。


「…あれ?あの時の…」

「…ニ、ニカがよく話す“ゆうだい”って…」

「あ、そっか。あの時自己紹介
してなかったもんね(笑)」


驚きで何も相槌が打てない私。


「初めまして、辰巳雄大です。」


笑顔で名前を言う彼を目の前に、

世間の狭さに驚いて
身体中のアルコールが全部吹っ飛んだ。






【続】
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明けました。

おめでとうございました。

今年もよろしくお願いしました。


新年1発目のお話は
辰巳くんにしてみました。



あとねぇ。

あのねぇ。

居酒屋の名前ねぇ。


漁火にしてみたの♡



やっこーいどっこーい
やっせーらー

やっこーいどっこーい
やっせーらー

欲に手を出しゃ 潮目が変わる!

生きてりゃ時化ある 凪もある!

人と出逢うは 不思議な縁!

人生生きてりゃ 丸儲け!





でもこのお話に出てくる漁火って居酒屋は

背が高くて骨格からしてイケメンで
鼻が高くて声も良くて
でも天パっていう可愛い部分もあって
横顔はもはやダヴィデ像を彷彿とさせる
彫刻並みの破壊力を持つタレ眉店主も

可愛い可愛いばっちゃんもいない、


ふっつーーの小汚い安さが売りの
居酒屋なんだろうなぁ。





そして相変わらずタイトル付けられないです。

本でも音楽でも
タイトル付ける人って
どうやって付けてるのか…

不思議でなりませんぜ。


誰か私の代わりに付けて下さい(笑)

お願いします(笑)



ホラ、この通り…



 -= ∧_∧ -
=と( ◉ਊ ◉) アッハッハッハッ!!!!
 -=/ と_ノ

  • =_//⌒ソ


∧_∧ =-
(◉ਊ ◉ )`つ=- アッハッハッハッ!!!!
 `つ \ =-
 \,⌒\\,,,_=-





…ふざけてごめんなさい。


(笑)