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さう日和。

ファニーフェイスなオナゴ。ジャニーズ中心生活。

Love Liar 【4】


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「○○ちゃん起きて」


肩を何度か叩かれる感覚に目を開くと
私はベッドの上で大の字になって寝ていて

ベットの横に立った雄大くんが
私を上から覗いていた。


「おはよう」


雄大くんは楽しそうに笑う。


その笑いは何から来ているのか。

寝顔のブサイクさか。

寝相の悪さか。

寝癖の凄さか。


「いろいろすごいね」


どうやら全てだったらしい。


ガバッと上半身を起こして
雄大くんに目線を向ける。

その顔は寝起きの時の顔はなんだったんだろ
って思うくらいイケメンに戻ってた。


「…おはよございます…」

「夜勤明けだったの?」

「うん…」

「お仕事お疲れ様」

「…ん…」

「ご飯食べる?」

「たべたい」

「目玉焼き?オムレツ?」

「めだま」

「半熟?固め?」

「はんじゅく」


遠慮なんて1つもしないで
答える私の寝癖に軽く触れてから
寝室を出て行く雄大くん。


えっと…

眠さのあまり、雄大くんの家に
相手の迷惑も考えずに押しかけたことは覚えてる。

ソファで少し寝かせてもらって
帰ろうとした後…


そうだ。

話があるからって言われて
引き止められたんだった。

それで、布団の中に引っ張り込まれて
抱き締められた。



…ッキャ〜〜ッッ

抱き締められたんだった!

一晩1つの布団で一緒に寝ちゃったんだった!


え?話って何??

何?何なの雄大くん??


「あ、○○ちゃん」

「はいッ!」


火照った頬を両手で抑えて
1人で悶絶する私に告げられるのは


「ご飯食べ終わったらお説教ね」

「……は…?」


頬の熱がスッと冷める言葉だった。






雄大くんが作ってくれた半熟の目玉焼きに
カリカリベーコン。

こんがりと焼かれた食パン。


4人掛けのダイニングテーブルに座って
しっかり全部食べ終えた私の前に
コーヒーが置かれる。


「よし」


腰に手を置きながら一息つく。


どうやら彼の言った“お説教”は
今から始まるらしい。

つまりこのコーヒーは
取り調べでいうカツ丼的なものらしい。


いくつになっても、
人に怒られるのは気分が良いものじゃない。


いきなり家に押しかけて迷惑かけた事を
怒られるんだろうなぁ。

他のことで怒られるような事あったかな…

無いな。うん、無い。


ごめんな、雄大くん。
夜勤明けで眠くて判断力が鈍ってたんだよ。


「○○ちゃん、俺に言うことあるよね?」


へい。ありますとも。

口元は笑ってるけど目が笑ってない。
イケメンな顔してるから余計にビビる。


「ご…ごめん…」


反射的に謝った。


「それは何に対してのごめん?」

「…えっ?」

「分かってないよね?」

「…あはは…?」


どうやら私の想像してた事じゃ無いらしい。

雄大くんが“説教”しようとしてる事は
私の想像してた事じゃ無いらしい。


…全然分からん…


乾いた笑いしか出せない私のおでこに
雄大くんはコツンとゲンコツをした。


「ニカの財布から出さなかったでしょ?」

「…あ、」


その事か。


バレた。

実はあの時こっそり自分の財布から出したこと。


話あるってこの事だったのか…


「ニカから電話来たんだよね」

「…はぁ」

「財布の中のお金が一円も減ってないって」


ニカは酔っ払って人に迎えに来させた癖に
財布の中の残金を一円単位で覚えてたらしい。


なんて細やかな男だ…


「俺がニカに怒られちゃったじゃん」

「でも…」


テーブルの下で手をモジモジと
動かしながら反論の声を出した私に
雄大くんは「…ん?」って少し驚いた声を出した。


「ニカっていつも奢ってくれるの」

「うん」

「一円も出させてくれない」

「ニカがそうしたいって言ってるなら
いいんじゃないの?」

「申し訳ないよ」

「なんで?」

「なんでって…」

「……」

「私だって働いてるし…」

「ははっ」


なんで雄大くんがこのタイミングで
笑い出したのか。

理解出来なくて今までずっと伏していた
目線を上げて雄大くんを見ると、

顔をくしゃっとさせて笑っている。


「○○ちゃんって本当に優しいんだね」

「優しくなくない?別に。」

「優しいよ」

「うーん…」

「とりあえず、これからは
笑顔でご馳走様って言ってあげてよ」

「……」

「ね?」

「…うん」


少し小さめの声で返事した。


やっぱりまだ少し納得出来てないけど、
雄大くんは嬉しそうにニコニコ笑いながら
私の前に砂糖を置いた。

いつも通りスプーン2杯の砂糖を
コーヒーに入れて溶かす私に、
「出た、2杯」って声が聞こえた。


「私、迷惑かけた事怒られるのかと思った」

「迷惑?」


キッチンの前に立って
洗い物を始めた雄大くんの隣に自分も立つ。

雄大くんが泡を立ててスポンジで
洗ったお皿を受け取って水で流す。


「ホラ、私急に押しかけたじゃん」

「朝?」

「そう」

「まぁ、ビックリはしたけど」

「でしょ?だからその事に対して
怒られるのかと思ったの」

「それは全く気にしてなかったなぁ」


朝っぱらから女を家に上げて
同じ布団の中で寝といて…

全く気にしていないなんて。


それはそれで悲しい。


「俺、少ししたら仕事行くんだけど
○○ちゃんどうする?家にいる?」


どうやら雄大くんはニートではなかったらしい。
ちゃんとお仕事してた。


「いやいや、帰るよ。」

「別に家にいてもいいのに」

「…雄大くんって誰でもこうやって
泊めさせてあげてるの?」


出来れば否定して欲しいって思いながら
さっきから気になってた事を聞いてみた。

私は男の人が苦手だし、
それにまだそういう経験がない。

雄大くんが仮に…
もし仮に、私に対して

男の人の家にホイホイ泊まって
私が未だに経験した事ない

あんな事やこんな事をするような女の子を
今回の私のように泊めてあげて

あんな事やこんな事していたなら、

私はその期待に応えられない。


勝手にだけど雄大くんが
そんな人じゃないって思ってるし、

私自身も雄大くんから
軽い女に見られたくないから、


違って欲しいと思った。


私が思ってた通りの人であって欲しい。

私を軽い女だと思って欲しくない。


横並びに立って黙々と
お皿を水で洗い流してると、


「そんな訳ないじゃん」


雄大くんの落ち着いた声が聞こえてきた。


「今回は○○ちゃんに
お説教するために家に上げたの」

「…そっか」

「それに俺、そんなチャラくないよ?」

「見た目チャラそうだけど」

「失礼だな!」


見た目は少し派手だけど
彼は軽くはないらしい。

勝手に抱いていた期待を裏切らないでくれた
雄大くんにホッとしていると

洗い物を先に終えた雄大くんが、
タオルで手を拭きながら


「他の子は滅多に上げないけど、
○○ちゃんならいつでも来ていいよ」


さっきとはまた別の期待を
抱いちゃうような事を言う。


「今回みたいに夜勤明けに来てもいいし」

「……」

「仕事終わりに寄ってもいいし」

「……」

「何もない日に来たっていいよ」

「…なんで」

「ん?」

「なんで私ならいいの?」

「似てるから」

「…へ?」

「俺と○○ちゃん」


何をどう感じて雄大くんが
自分と私を“似てる”
と、思ったのか…

どんなに考えてみても分からなかった。














ちょっぴり薄暗い店内は目の前の飲み物を
さらに艶やかに魅させてくれる。


背の高いすらっとした足の長い
綺麗なグラスに注がれると

居酒屋で飲み慣れたものと同じお酒でも
すごくおしゃれなカクテルに見える。


いつも安さ重視で
小汚いチェーン店で飲んでる私からしたら
こんなところ来る事ないと思ってた。


グラスの縁についていた
オレンジをガブガブと食べる私に、


「ねぇ、どこ?どこにいるの?」


私の目の前で真っ赤なお酒を飲む彼女の
気合の入った目尻のアイラインは
きっとこれから会えるだろう人への
期待のバロメーター。

いつもより少し上に跳ね上がっている。


そんな可愛いカバン持ってたんだ…


って思うくらいに見たこともない
クラッチバックからコンパクトミラーを出して
入念にメイクの確認をする彼女は、

例の結婚式に一緒に参列した
“インスタ女”の名付け親の、あの友達。


食べ慣れたみかんとはまた違う食感の
オレンジをかじりながら眺めるのは

“来る事ない”と、思っていたくらい
私とは無縁のおしゃれ空間、バー。


その内装。


バーはバーでも、サッカーの試合が
テレビで放送されるときは
これでもかって言うくらい
人が集まるスポーツバーらしいそこは

壁にたくさんのサッカーのユニフォームとか
タオルとかよく分かんないグッズが並んでる。


黒目だけキョロキョロ動かす私の
口元を指差しながら友達は
「それさ…」と、口にする。


「そのオレンジって食べるものなの?」

「…え?」

「食べていいの?」

「食べちゃダメ、なの?」

「分からない…」

「わ、私も分からない」

「どうする…?」

「え、何が…」

「オレンジ食べたら私はお持ち帰りOKです
みたいな合図…とか言うルールがあったら」

「えぇ…!」

「だってなんかよくマンガとかであるじゃん!
カクテルに意味が込められてるとか…」

「えっ、えっ、どうしよう!」


慌てながら急いで口から
オレンジを引っこ抜く。

私も友達もこんなオシャレなところ
来たこともないから、
1つ1つにビビってしまう。


“持ち帰りOKです”の合図だけじゃない。

“彼氏いるんで話しかけないで下さい”
的な合図だったとしても、
どうしよう…だ。


お前なんか誰も話しかけねーよブス。


って周りから思われてたかもしれない。

ガブガブ噛みついてる場合じゃなかった!


見開いた目で見つめ合っていた友達が
視線を私の横にフッと流した瞬間、

私の肩がポンと叩かれた。


「ヒィッ」


“今夜、お相手よろしいですか?”


そんなことを言われたら正直に言おう。
そんなつもりで
オレンジ食べたんじゃ無いんですって。

はっきりと正直に言おう。


そう決めて叩かれた肩の方に振り返ると、


「ゆ、うだいくん」


ニコニコ顔の雄大くんがいた。


「いらっしゃいませ」

「…あ、うん。こんばんは…」

「迷わないで来れた?」

「ちょっとだけ迷った」

「やっぱりか。この店分かりにくいもんね」


白シャツに身を包んで、
ロングエプロンを着こなす雄大くんは
店内が薄暗いおかげでもっとイケメンに見える。


雄大くんの家に泊まらせてもらった後
家に帰る途中に、
「雄大はバーテンダーしてるんだよ」って
言っていたニカの言葉を思い出した。

ニカから聞いた時は
その“ゆうだい”とやらを
全く知らなかったから


「フーン」


って聞き流したことも思い出した。


お説教が終わった後に
雄大くんは連絡先を教えてくれた。


「これから仕事」って言っていた彼に
“さっきはありがとう”
“雄大くん、バーで働いてるんだよね?
お仕事頑張って”


って送ったら、


“どういたしまして”
“今度飲みにおいで”


って返って来たから、
友達を誘って飲みに来た。


電話で、


「インスタ女が掻っ攫ってたイケメンだよ。
覚えてる?」


って言った私に、


『忘れる訳ないじゃない!!
あんなイケメン!!!』


って興奮しまくってた友達は
二つ返事でホイホイとついて来てくれた。


さっきまでも、すごく興奮してたくせに、
目の前の雄大くんの
イケメンっぷりにヤラれたのか、
友達はポカンと見つめたまま動けなくなっていた。


雄大くんは、私たちの前に1つずつ、
小さな白いお皿を置いた。

そのお皿の上には
小さなチョコレートケーキが
ホイップで可愛くデコレーションされていた。


「俺からのおごりね」

「…へ?」

「今日わざわざ来てくれてありがと」


反則級の笑顔でサラッとこんな事をされて…


ついに友達が「あ、あの…!」と、
裏返った声で雄大くんに話しかけた。


「ん?」

「ありがとうございます…
あ、あたしまで頂いちゃって」

「こんなもので申し訳ないけど」

「そんな事ないですよぉ」


さっきまで私に見せていた顔から
ガラリと変わった友達に
笑いがこみ上げてくる。


どっからそんな高い声出してんだよ(笑)


笑いを必死に押し殺して
友達と雄大くんの会話に耳を傾ける。


「ずっとここで働いてるんですかぁ?」

「いや、5年くらいかな〜
ここの店長に誘われてさ、
その前は普通に会社員してたよ」

「えぇ〜!ビックリー!
なんでバーで働こうって思ったんですかぁ?」

「元々、ここのバーにいつも飲みに来ててさ。
サッカーの試合があると
このバーでサッカー好きの人たちが集まって
みんなで酒飲みながら応援するんだよ」

「うんうん」

「そういう時とか人手が足りないからって
よくお手伝いしてたら“このままウチで働かないか?”
って店長から誘われて…って感じかな」

「わぁ、大抜擢だっ!」

「大袈裟だよ。でも面白そうだな〜って
思って…やってみたいなって」

「へぇ〜なんかすっごーい♡」


一体何がすごいのか分からないし、
友達が笑えるくらいに語尾を上げて
喋るから混沌としてしまったけど…


雄大くん…会社員してたんだ…


まさかの新事実発覚。


でも、雄大くんのことだから
スーツも似合うだろうなぁ。


雄大くんがサービスしてくれた
チョコレートケーキを「いただきまーす」って
ちっちゃい声で言ってからフォークで一口食べる。

口に広がる甘い味に
思わず顔をほころばせてると

雄大くんが私の顔を覗き込んで来た。


「今日は仕事休みなの?」

「え?あ、うん。休み。」


一生懸命話しかけてる友達の会話を
ぶった切って私に話しかけてくるから
ちょっと気まずい。


「なんでウチ来ないの?」

「へっ!?」

「いつでも来ていいよって言ったのに
全然来ないんだもん」

「いや…」

「明日は?夜勤なの?それとも朝から?」

「明日は、夜勤…」

「じゃあ夜勤明けおいで」

「…え?」

「仕事終わったらラインちょうだい。
鍵開けとくから勝手に入って来ていいよ」

「…いや…」

「俺寝てると思うけど気にしなくていいから」


いやいやいやいや!!

何を言ってんの!?

色々何を言ってんの!!??


眉間にしわを寄せる私。

そしてそれ以上にしわを寄せる友達。


私たちをこんな顔にした
当の本人、雄大くんは変わらず笑顔で


「じゃあ俺戻るね、ゆっくりしてって」
って言葉を残して立ち去ろうとするから、
慌てて「なんで?」って聞いた。

いろんな意味を込めて“なんで?”って。


そしたら雄大くんはゆっくり振り返りながら、


「似てるから。こないだも言ったじゃん。」


そう言ってカウンターの向こうに入っていった。


「…え、付き合ってんの?」

「…付き合ってないよ」

「いやいや、付き合ってるでしょ」

「付き合ってないってば!」

「え?じゃあなんであんなこと言ってんの?」

「……」

「私との会話ぶった切って」

「……」

「あんたにしか興味ないじゃん、彼」

「……」

「どうゆうこと?」

「……」

「あんな感じで付き合ってないって方が
不思議でならないんだけど」


雄大くんが私たちの視界から消えてすぐ、
友達はお酒で火照った顔を近づけてきた。

跳ね上げた目尻のアイラインが
滲み始めた目をぐりぐりに開いて
私を質問攻めにする。


「分からないよ、私にだって」

「嘘をつけ」

「…なんか」

「なによ」

「雄大くんは“似てるから”って言ってる、けど…」

「なにそれ」

「だから分からないんだってば」

「似てるって…なにが」

「だか…ッ」

「あんたは彼と違ってモテそうもないし、
容姿だって恵まれてないし
顔だって彼の方が小さいんじゃない?
似てるとこなんて1つもないじゃん」


Oh...なんてストレート。


チョコレートケーキにフォークを
ぐさっと刺した友達は、

雄大くんがサービスしてくれた
そのケーキをガブッと一口で食べた。


雄大くんとの再会を楽しみにして、
メイクだけじゃなく服装や持ち物にも
気合いを入れてきた友達。


自分で言うのも変だけれど…


私にだけ構うような態度を取った雄大くんに
気を悪くしてないかなって思ったけど


「いろいろ面白そうだから
あんた達のこと観察させてもらうわ」


って、少し楽しんでるみたいだった。







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某ドラマの次回予告に福田くん出てきて
そりゃもう世界中の男の最高峰に君臨してる
(さうの独断と偏見による調査結果)
男のタキシード姿に死にました。

みんなは息してる?

私はさっき2分くらい止まったョ。


来週生きていられるかしら。