さう日和。

ファニーフェイスなオナゴ。ジャニーズ中心生活。

俺が守りたい女。


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俺には、愛してやまない女がいる。



彼女への愛は俺が誰よりも
強いと思う…いや、強い。

断言できる。


そんな彼女との出会いは
もう4年ほど前に遡る。


あの時俺は、何もかもを失って
無気力なまま歩道の隅に座り込んでいた。

季節は春のはずなのに、
アスファルトに打ち付ける雨は
身を震え上がらせるほど冷たい。


座り込む俺の前を自動車が通っていく。

その度に俺の自慢の栗色の髪は
跳ねた泥水で汚れていった。


「とことんついてねぇな…」


雨音にも負けそうなくらい
弱っちい声で強がる俺の前に彼女は現れた。


「こんなところにいたら、汚れちゃうよ」


彼女はなんのためらいもなく
俺の前にしゃがんで傘を差し出しきた。

俺を歩道から庇うようにしゃがむ
彼女の白いコートが、
さっきまで俺に当たっていた泥水で
汚れていくのが見える。


「おいおい、そんなところに座ったら
お前さんこそ汚れるぜ」

「そこ、寒くない?」

「寒いさ」

「お腹空いてない?」

「空いたっつーの…
もうなんなんだよ」


こんな惨めな…ボロボロになった姿を
見ず知らずの女の物珍しそうな目で見られて
男して気分は最悪だ。

頼むから放っといてくれ。


プイッとそっぽを向いた俺の体に何かが掛かった。


「ウチ、そこなんだ。おいでよ。」


俺の体には白のコートが掛けられていて、
目線を上げた先には、
俺のために薄着になって
微笑みかけてくれている、彼女がいた。


「…いいのか…?」


確かにここは寒いし、
もうこれ以上汚れるのは懲り懲りだし、
飯だってもう3日口にしていない。

家に連れてってくれるのは
とてもありがたいが…

俺は一応オトコだぞ?


警戒する俺に気づいたのか、
彼女はそっと俺は手を差し伸べた。


「無理しなくていいよ。嫌なら来なくていい…
でも、私あなたを放っておけない。」


聖母なようなその言葉に、
俺は気づいたら彼女の手に自分の手を添えていた。


「おいで」


先に立って歩き出した彼女に着いていくと
クリーム色の外壁をした
紺の屋根の一軒家が見えてきた。

その家の前で立ち止まって、
俺に振り返った彼女の


「ここが私の家。一応新築だよ?」


ちょっぴりドヤ顔を混ぜた笑顔が
めちゃくちゃ可愛かった。


彼女は俺を温かい風呂に入れると、
うまい飯を腹一杯食わせてくれた。


久々のちゃんとした飯に
マナーなんて忘れてがっつく俺に


「誰も取らないから」


って笑った彼女に俺は思い切って聞いてみる。


「なぁ、あんたは俺みたいな男には
みんなこういう風に優しくしてるのか?」

「ん?なぁに?」

「なら今すぐやめた方がいいぜ…
男ってのはな、単純なんだ。

ちょっと優しくされただけですぐに勘違いしちまう
浅はかで単細胞な生き物なんだ。

だからな…」


あろうことか、彼女は話を無視して
俺の頭を優しくポンポンしてきた。

男は単純なんだぞ、と
話をした瞬間にだ。

どこまでも警戒心のない女だ…


俺が常識のある奴で良かったな!

じゃなきゃ襲われても文句言えなかったぞ。


全く…本当にお前って女は
警戒心もないしなんか抜けてそうだ。

だから…


「君、ウチに住む?」


俺が守ってやる。

これはお礼だ。

ここまで優しくされたのは初めてだからな。


ただでさえお前は顔が美人なんだ。

賛否両論あるかもしれんが、
俺は好きな顔だ。

お前に惚れて、お前を騙そうとする
男が現れるかもしれない。


だからお前を守る。

この家にいさせてもらう代わりに
お前を守る。


俺はまだ残っていた飯を
口に詰め込みながらそう誓った。


その日の夜、
彼女は俺を抱き締めながら寝てくれた。


彼女の髪の毛からとてもいい匂いがして
安心して眠りについたのを覚えている。


次の日の朝も、
俺にうまい飯をくれた。

微笑みを浮かべながら飯を食う俺を眺める彼女に


「恥ずかしいからあんまり見ないでくれよ」


と、言うと


「今日は昨日と違ってガッツがないんだね」


意地悪なことを言う。


その言葉に少しこっぱずかしい気持ちになった俺は
彼女から目をそらして飯を食う。

でもやっぱり気になって、
ちらりと彼女を盗み見すると、
彼女は窓から溢れる春の太陽の光を
目を細めながら眺めて居た。


あぁ、綺麗だなぁ。

守っていく価値のある女だ。


少し強めに吹きこんだ春風が
彼女の髪を揺らして、

彼女は髪のいい匂いを俺に届けながら
俺に向かって「ヒナタ」と、口にした。


「…ヒナタ?」

「ヒナタってどう?あなたの名前。」

「俺の名前?」

「これから一緒に住むんだもん。
名前、必要でしょ?」


…いいぜ、センスいいぜお前さん。

ヒナタ、最高に気に入ったぜ。



正直なところ、彼女が付けてくれるんなら
名前なんてなんだって良かった。


ホントは彼女に一目惚れしてたんだ。


彼女が俺の目の前にしゃがみ込んだ
あの瞬間から、惚れていた。


“守ってやる”なんて上から目線で言ってるけど、
ただ側に居たかっただけだったんだ。




それから俺とあいつは常に一緒だった。


俺の身体を気遣って
ヘルシーで体に良いものばかりを
俺のためだけに用意してくれた。

風呂に一緒に入った後は優しく丁寧に
俺の栗色の髪を梳かしてしてくれた。

細くて綺麗な彼女の指が
髪の間を滑るように撫でるのが
気持ちよくていつもウトウトする俺に


「こらヒナタ。寝ないの!」


っていう彼女が最高に可愛かった。


彼女の父親も母親も
優しく俺を迎え入れてくれて、

俺は最高に幸せ者だと何度も実感した。




彼女は最近、大学生になって家を出た。

そのせいで生活が変わって
全然家に帰ってこれなくて
俺と彼女の時間は前よりも減りつつある。

でも時間が減っても
愛はどんどん深まる一方だ。

なんでそれが分かるかって?

彼女は俺を力いっぱい抱きしめてくれるから。

「ヒナタ大好きだよ」って
何度も何度も口にしてくれるから。


どんなに距離が離れても
彼女を守るのは俺の務め。


今までも。

これからも。







だと言うのに!!!






「こんにちは。お邪魔します。」


なんだってんだこの仕打ちは!!




昨日なんの連絡もなく
彼女は急に家に帰ってきた。

興奮しながら俺にベラベラとどうでもいいことを
話し続けたかと思ったら、
プツンと倒れこみソファで眠り出した。

俺はここで寝たら寒かろうと、
布団を掛けてあげた上に添い寝までした。


なのに朝早く跳ね上がるように起きた彼女に
ソファから突き落とされて目が覚めた。


「ちょ、ヒナタ!邪魔!」

「なんだなんだ!?どうした!」

「今何時!?やばい!昨日お風呂入ってない!」


ソファから落ちて
間抜けな格好の俺に目もくれず
彼女は風呂場へダッシュする。


「え?何?どうしたの?」


パジャマ姿でリビングに顔を出した
彼女の母親に駆け寄る。


「ママ!聞いてくれよ!あいつ酷いんだよ!」

「あら、ヒナタおはよう」

「おはようママ!でさ、聞いてくれよ!
あいつ俺をソファから突き落としたんだよ!」

「ヒナタ○○からご飯もらったの?」

「まだだけど…ってそんなことはいいよ、ママ!
あいつあんな慌てて何してんだよ!」


ママはのほほんとしながら
俺の飯を用意し始める。

なんだか俺だけ騒いでるみたいじゃないか。


「はい、ヒナタ。お待たせ。」


ママが出してくれた飯を一口食べる。


ママはあいつがあんなに
慌ててる理由を知ってるのか?

なら教えてくれよ。
なんであいつはあんなに慌てて…


「ねぇ!お母さん!
ドライヤーどこにしまったの!?」


どっひー!!!!


下着だけを身につけた彼女が
さっき以上に慌てながら風呂場から飛び出してきた。


おい!そんなはしたない格好でウロウロするな!
服を着ろ!服を!!


「えー?洗面台の横に置いてなかった?」

「置いてなかったから聞いてるの!」

「じゃあお母さん知らなーい。
あんたいっつも髪なんて乾かさなかったじゃない」

「今日は訳が違うの!!!」


どうした。そんなにおめかししようとして。

もしかして俺とのデートか?


いいって、いいってば。

俺はお前と出掛けられれば
それだけで十分幸せなんだから。

大学生になってから全然帰ってこなくて
確かに寂しかったよ…

そこは認める。


でも、そんなにめかしこまなくていいぜ?

いつも通りヨロヨロのパーカーに
動きやすさ重視のジーパンで行こうぜ。


なぁ…


「宮舘くんに会うんだから…!!!」

「……へ?…」


口から飯をこぼしながら驚く俺に気づかないくらい
彼女はバタバタと慌てながら
ドライヤーを探しまくっていた。





それがほんの1時間くらい前の話…


「あなたが宮舘くん?いらっしゃい!」


普段全く化粧っ気のないママだが、
今は顔をいつもより白くして
口紅なんか塗ってやがる。

正直似合わんぞ、ママ。


玄関には自分の家だというのに
キョロキョロと挙動不審気味に
テンパりまくる彼女と、

見たこともない…

でも知ってる男がいる。


「こんにちは」

「こんにちは〜」

「急にすみません」

「いえいえ、うちは全然いいのよ。
ゆっくりしてってね」

「ありがとうございます」


おい、ママ!

そいつに愛想を振りまくことないぞ!


「あのね、急に雨が降ってきてね!
行く場所なくなっちゃってね!」


あたふたと言い訳がましく
聞いてもいないことを言う彼女。


おいおい聞き捨てならんぞ!

それ俺と同じ境遇じゃねぇか!!


なんだよ!
男を家にホイホイ上げるな!

上げてもらった上に住み着いた
俺が言えた義理じゃないけどな!!


敵意むき出しで睨みつけてると、
そいつ柔らかく微笑みながら
俺に目線を合わせてきた。


「ヒナタ?」

「てめぇ呼び捨てにすんな!」

「こんにちは」

「うるせぇ!うちに上がるなら
俺を倒したからにしろ!!」


俺との直接対決が勝てないと思ったのか、
そいつは「ごめんね」なんて一言謝ってから
俺の隣を逃げるようにスルリと通る。


ママにもう一回ペコペコしながら
彼女の後ろに付いて階段を上がっていくのが見える。


部屋に行くつもりだな!

2人っきりになんてさせるものか!


追いかけようと思ったのに、
彼女がいきなり振り返って、


「ヒナタはここで待っててね」


俺の頬を優しく撫でながらそう言うもんだから、
俺はその場にいるしかなくなった。

俺にとって彼女は絶対。


ちくしょーーー。


リビングに入ってソファに寝転ぶと、
鼻歌なんて歌いながら
紅茶を淹れるママが見える。


「ママ、俺にも暖かいミルクを一杯…」

「ふんふんふ〜ん」


ダメだ。

どいつもこいつも浮かれポンチだ。

ここは俺がガツンと言ってやらなきゃ…


「ヒナタ」

「なんだよママ」

「○○呼んできて。紅茶入ったって」

「いいだろう。そして説教も垂れてきてやる。
あの男にな!」


鼻息荒めに階段を駆け上がって
部屋のドアを殴るように叩けば


「…ヒナタ?」


彼女がひょっこり顔を出した。


「ママがお茶取りに来いってよ」

「呼びに来てくれたの?」

「お前のためならなんだってするさ」

「ありがとうヒナタ」


彼女の笑顔に癒されていく。

でも忘れちゃいけない。

俺はするべきことがあるんだ。


「宮舘くん、ちょっと下に
お茶取りに行ってくるね」

「そんなかまわなくていいのに」

「そんな訳にはいかないでしょ」


若干頬を赤らめながら
部屋を出ていく彼女の目を盗んで
部屋に入り込むと

そこには俺の恋敵…


宮舘がいた。


部屋に入って来た俺を見て
一瞬驚いた顔をしたが今は笑ってやがる。

てめぇ何俺の顔見て笑ってんだオラ。


「ヒナタ、初めまして。宮舘です。」


知ってるぞ。

お前のことはよく知ってるぞ、宮舘。


はっきり言おう。

俺はお前が嫌いだ。


とある期を境に、彼女は
お前のことばかり話すようになった。

毎日毎日学校であったことを俺に
報告してくれる時間が
幸せでたまらなかったのに、

いつの間にかお前の話ばかり。


最初は可愛い可愛い彼女の話だ。
我慢して聞いてやっていた。

俺は大人な男だからな。


でもさすがにおまえに好意があるかもしれないと
彼女が頬を真っ赤に染めながら
そう告白してきたときは

さすがの俺でもショックのあまり
飯が喉を通らなかったくらいだ。


あのときあの瞬間から
宮舘、お前は俺の中のブラックリスト入りだ。


本当にいけ好かねえ。


昨日だってそうだ。
久しぶりに会えたと思ったら
宮舘くんが大学合格したんだよって
そんな話ばっかりだ。


口を開けば
「宮舘くんが宮舘くんが」って。



彼女が家を出て、
家から遠い大学に行くってなった時も、だ。

俺は彼女のためを思って
離れ離れになるのを我慢した。

男気を見せて彼女を送り出した。

男は涙を見せるもんじゃねえ。

なのにお前ときたらなんなんだ。
彼女を追っかけて同じ大学だと?

しかもちゃっかり合格しやがって。


しかもしかも。
お前彼女の前で泣いたそうじゃないか。


聞いたぞ。

馬鹿だな。

泣いてないって誤魔化したつもりだろうが
彼女にはバレバレだったんだよ。


思いっきり泣いた顔してるくせに
泣いてないって言ったらしいな。

ダサいことこの上ない。

いいか、よく聞け。
俺と彼女は愛し合ってるんだ。

彼女は受験勉強で忙しい時だって
俺とのお出かけを欠かすことはなかった。

雨が降った日だって
ごめんねって言いながら俺を優しく抱きしめて
家の中でずーっと遊んでくれた。

雪の日は2人で雪にまみれながら遊んだ。


お前はそのシュッとしたつり目がウリの
イケメンかもしれないが、

俺は黒目がちのクリクリ目のキュート顔が売りだ。

負ける気がしない。

俺は髪だって地毛で綺麗な栗色だし
鼻だって高い。

足は…お前の方が長いかもしれんが
走る速さなら絶対負けない。


もう一度言う!

俺と彼女は愛し合ってるんだ!

お前に俺たちの仲は邪魔させない!


ったく、紅茶なんて飲める身分か!

その辺の水道水でも飲んでろ!!


フン。

言ってやったぜ!


俺の説教中ずっと俺を見たまま
動けなくなってた宮舘は、


「いいなぁ…」


小さな声でポソリと呟いた。


「ヒナタはいいなぁ」


…言い過ぎたか…?


そう思わざるおえないくらい
宮舘は肩を落としながら
悲しそうな目で俺を見ていた。


「ヒナタは俺の知らない先輩を
たくさん知ってるんだよね」

「まーな」

「先輩にたくさん甘えてもらってるんだよね」

「あいつ俺の前ではデレデレだからな」

「いいなぁ」

「……」


気付いたら、俺は宮舘に寄り添っていた。


「羨ましい…」


彼女がいない今だから。

そして俺だから。


だからこそ聞けた宮舘の本音に
俺はなんだかなんとも言えない気持ちになった。


「先輩…本当に俺のこと好きなのかな…」

「なんだと!?」

「俺ばっかりが好きみたい…」

「てめぇ!あいつはそんな女じゃねぇぞ!!!」


俺は宮舘に飛びかかった。


「うわ!ヒナタどうした!」


俺からの攻撃に驚きながら怯んだ宮舘は
かっこ悪く後ろにひっくり返って
腹に俺を乗せながら目を見開く。


「あいつがそんな女な訳ねぇだろ!!」

「なに!?なに!?」

「てめぇ噛むぞコラァ!!」


怒鳴る俺の体を
軽々と退かした宮舘は


「ビックリした…」


なんて言いながらまた俺に向き合った。


「あいつの事馬鹿すんじゃねぇぞ」

「ヒナタはいい奴だな」

「…こんな事言いたくねぇがな、
あいつはお前に相当惚れてるぞ!」


一緒にいた時間が長いからこそ分かる。


宮舘の話をするときの彼女の目は
キラキラ輝いている。

話すことが楽しくて仕方ない…
嬉しくて仕方ない…
そんな気持ちが読み取れる。


「…自信持てよ」


まだプライドが少し捨て切れなくて
吐き捨てるようにそう言った俺を
宮舘はギュッと抱きしめた。


やめろ。

離せ。

今すぐ離せ。

男に抱きしめられても
なんも嬉しくねぇんだよ。


「ありがと、ヒナタ」

「フン」

「ヒナタはやっぱりすごいな」

「当たり前だろ。俺を誰だと思ってるんだ。」


その時、彼女が
紅茶が入ったマグカップを2つとお茶菓子。

そして、ミルクが注がれてるであろう
俺専用のお皿を
お盆の上に乗せて部屋に入って来た。


「やっぱりヒナタ、ここにいた」


「ヒナタの分、持ってきて正解」
って言いながら笑って、
可愛い顔をしていた彼女だけど

お盆をテーブルの上に置いて
俺専用の皿を床に置こうとした瞬間に、


「あれ?」


びっくりした目が俺の目と合った。


…ハッ!


俺今宮舘に抱き締められている!!

違う!違うぞ!!
こいつとは仲良くなんてないぞ!!

こんなやつ大っ嫌いだ!!!


…って思うんだけど、
それでも大人しく宮舘の腕の中にいるのは

少しこいつを認めているからかもしれない。

不安を俺だけに打ち明けてくれた宮舘を。


「ヒナタ、宮舘くんと仲良くなったの?」

「…そう思ってくれてたら嬉しいな」

「チッ」


よかろう。宮舘。

お前を俺の師弟にしてやる。


お前はこれから彼女と同じ大学に通う。

そこでお前の役目だ。


お前は大学での彼女を守れ。

俺はこの家にいなきゃいけないから
側にいてやれない時は
彼女を守りたくても守れない。

この一年、俺がそばにいなくて
彼女になにもなかったのは奇跡に近い。


でも、その奇跡が
いつまでも続くとは限らない。


だからこれからはお前が側にいて
彼女を守るんだ。


でも俺が頭だ。
お前は師弟だ。

そこだけは間違えるなよ。


「あ、ヒナタにお土産があるんだった」


宮舘は抱き締めていた俺を
優しくクッションの上に寝かせると、

自分のおしゃれなカバンの中から
取り出した袋を俺の目の前に差し出した。


「うちのコナくんも好きなんだ。
良かったらヒナタも…お口に合えばいいけど。」


なんだよ、お前いい奴だな。

いい奴だなぁ!!


俺はしっぽをブンブン振り回しながら
“イヌ用 おやつ”と書かれた
ママだったら絶対買ってくれなそうな
高いおやつに目を輝かせ

宮舘に、また飛びついた。







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長い(笑)

人間視点の話じゃないのに
無駄に長い(笑)