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さう日和。

ファニーフェイスなオナゴ。ジャニーズ中心生活。

越岡くんと元彼。 【前編】

ジャニーズ 妄想



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一時期、電話口の裕貴の第一声が


『何された?』


だった事がある。


ため息交じりのその声は
呆れているけれど優しくて、

男の子にしては少し高めの声質に
いつも安心したのを覚えてる。


『…ゆう…きッ、もうやだ…ッ』

『とりあえず落ち着いて深呼吸して』


泣きながら電話するのは
昔からいつもこの人だった。


裕貴の優しさを
最大限に利用していたクズな私は

嫌なことがあると、
例えそれが今付き合ってる男の事だろうが
職場での上司の事だろうが
女友達とのトラブルだろうが

なんだろうと泣きながら電話をして
彼に愚痴っていた。


うん、うん、
って優しく聞いてくれて
私を肯定してくれる優しい人。


彼のそういうところを利用して
生きていた時期があった。



そんな彼の優しさは、
今でも続いていて…


『裕貴、ギュッてして』

『なんだよ急に』

『ギュ〜〜ッてして』

『はいはい』


今日も今日とて、
裕貴に甘やかされている。


『裕貴〜』

『○○〜』

『裕貴〜〜』


裕貴のせいで
昔の自分からは想像もつかないくらい
甘えん坊になった。


そのせいかもしれない。

少し浮かれていた。


少しどころかかなり浮かれてて、
あんなことが起こるなんて
想像もしてなかった。







***







『…分かった』


ふて腐れながらそう言う私。

電話の向こうには
申し訳なさそうに謝る裕貴がいる。


今日はお互い仕事が終わったら合流して
焼肉を食べる約束だった。

完全に肉モードだった私の落胆は
それはもう半端なものではなく、


『焼き肉…』


ついつい漏れる不満気味な声。


裕貴は悪くないのは分かってる。

仕事なのは仕方ないし、
なにより聞こえてくる裕貴の声も
すごく残念そうだから

仕方ないと思うんだけど…


『1人で行ってくる』


その決断が出るくらいには
私の脳内はもう完全に焼き肉一色。


元々ぼっち飯が全然へっちゃらなタチで、
しかもそれが行き慣れた
焼肉屋となれば俄然へっちゃら。


お店に入って、店員に案内されて、
席に着いた。


『タン塩とハラミ2人前で!』


意気揚々と店員にオーダーして
運ばれてきたお肉を網に乗せる。


お肉の焼けるいい匂いを嗅ぎながら
写真を撮って、


いただきます♡


って言葉とともに裕貴に写メを送る。


白米片手にお肉を頬張ってると、


“飯テロやめてよ。”

“こっちは仕事中なの。”


返ってくる裕貴からのライン。

携帯に向かってしたり顔で
網の上の空いたスペースに
お肉を並べてると


『相変わらず1人で飯食うの平気なんだな』


聞こえてくる声。


顔を上げるとそこには、


『よっ!』


いつぞやの浮気性な元彼がいた。



まさかの人物の登場に
気分を害されまくった私は
もろに“最悪”って顔をして、

元気だったー?

なんて呑気な顔して話しかけてくる
そいつをガン無視して
お肉をひたすら口に入れる。


『ここ座っていい?』


とか言いながらもう座ってる。

本当に気分最悪。
もう一生会いたくなんて無かったのに。


『久しぶりだね』

『……』

『さすが食いっぷりいいね』

『……』

『俺もタン塩食おうかなぁ』

『……』

『お前ホント好きだったよな、タン塩』


こんだけガン無視してるのに
え?気づいてないの?ってくらいに
普通に話しかけてくる。

相変わらずの鉄のメンタルに
関心さえする。


元彼が店員さんを呼んで
注文する姿を
モグモグ口を動かしながら
気づかれないようにチラ見する。



…こいつを好きになんて
ならないと思ってた。

人数合わせに誘われた合コンに
参加したのが全ての始まりだった。


あの頃も私は裕貴が好きだった。

でも、距離がフワフワとしていた。


近くにはいるけど
誰よりも遠くて

触れられる距離にいるけど
触れられなくて

裕貴との未来が見えなくなってた。


このまま裕貴を好きでいて…
その先に何があるんだろう。


もしかして、
裕貴を一途に想ってる自分が
好きなだけかもしれない。


そんな気持ちの時に誘われた合コン。

人数合わせだとしても、
この暗い気持ちを拭えるなら…と、
その飲み会に参加してみた。


そしてその合コンにいたのが、

1人でべちゃくちゃ喋りながら
今私の目の前で焼肉を食う、
この男だった。


顔はえげつないほどに
整っていた。

10人中10人が『イケメン!』
と、答えるほどに
綺麗な顔をしていた。

でも…
自慢げな話し方も、
横柄な態度も、

とにかく彼の何もかもが
片っ端から気に障った。


『○○ちゃん、すげー俺のタイプ』


みんなの前で私に向かって
そう口にされた時は
思わず口をへの字に曲げて
眉間にしわを寄せた。


きっもちわる!!!!!


心の中でそう吐き捨てた。


こんな奴って思った。

マジで嫌いなタイプって。


なのに…
私は彼にのめり込んでしまった。

どう言うわけか
好きでたまらなくなってしまった。


私がのめり込んでしまったこの男は、
女の扱いがとても上手かった。


男らしく手を引いて、
スマートに高級レストランに
スコートしてくれたかと思えば

いきなり後ろから抱きついて来て
犬のような可愛さで
無邪気に甘えてきたりした。


虜になるのに
時間はかからなかった。

私に愛をたっぷり注いでくれる。

愛される事への憧れが
叶った瞬間だった。


そして、彼は。
釣った魚には餌を与えなかった。


“恋人”という関係になって
1ヶ月も経つと、
別人かと疑うほどに
冷めた目を私に向けるようになった。

元々、彼は女友達が多かった。


ずーっとケータイが繋がらなくて
やっと繋がったかと思えば、
女と飲んでる何てことはよくあった。

でも、彼に
『友達だ』
と一言言われてしまえば

なにも言い返せなかった。


彼に捨てられない為に
良い子になって
理解がある女を一生懸命演じた。


友達という名目で飲んでいる
相手の女が彼の元カノだったとしても
何も気にしてない振りをした。


友達には、別れなよって言われた。

裕貴には何回も何回も言われた。

そんな男別れろって。


1番言われたくない裕貴に
別れろって言われて
余計にムキになって別れなかった。


いつも心配して真剣な眼差しで
そう言ってくる裕貴に、


『うるさいなぁ!関係ないじゃん!』


って吐き捨てた事まである。


今思えば最低だった。

私自身何もかも。

裕貴に甘えて八つ当たりして。



まぁ、最後は浮気されまくって
ボロボロになって…

裕貴の存在が
大きくなる一方で、

裕貴への気持ちを再確認して
結局別れたんだけど。




『○○見つけてビックリしたよ!
思わず声かけちゃった〜』


未だに1人で喋る元彼。


思い出したくもない過去を
思い出させられる。

この男のせいで
どれだけ泣いたか。

あんなに精神的に病むことなんて
これから先ないってくらいに
身も心もボロボロにされた。


なんで声なんてかけてこれるのか。

こいつの神経が信じられない。


付き合っていた頃も
何を考えているのか分からないこと
だらけの人間だったけど、


『やっぱうめーなー焼肉は〜』


勝手に追加オーダーした
タン塩と白飯をかっ込んでいる
こいつの脳内は理解不能。


あー、もう気持ちが悪い。
気分最悪。


一度だけ元彼をきつく睨んだ私は、
荷物も全部持って席を立つ。

苛立つ気持ちを
ドスドスと音を立てて歩いて
床にぶつけながらトイレへ向かった。


トイレで用を足しながら
ケータイを起動すると、

元彼の話を全く聞かずに
ムシャムシャと一心不乱に
お肉を食べていたから気づかなかったけど

裕貴から仕事終わった、との
報告ラインが入っていた。


『…〜〜ッッ…』


高ぶる感情に声にならない
変な音が出る。



裕貴に会いたい。

裕貴に会わなきゃ無理。


裕貴とのライン画面を見て
なんだか少し泣きそうになる。


“今から家行っていい?”


って送ってみると、


“待ってる”


すぐに返ってくる優しい文。


たまらず少し早足に個室を飛び出して、
手を洗った。

もう店を出よう!さっさと出よう!

ケータイを握り締めながら席に戻ると、
そこに元彼の姿はなかった。


…あれ?さっきの幻覚?


そう思うくらいに
空っぽになっている私の向かいの席。


さっきまで彼が使ってた
お皿もお箸も無くなっている。


…はて?

幻覚?

幻覚か…な?

なんだよ!最悪な幻覚だな!
せっかくならもっといい幻覚見せてくれよ!


周りに聞こえないくらいの声量で
独り言をブツブツと言って

唇を尖らせながら
レジへ向かおうと伝票を探すけど
テーブルの上に置いてあった伝票がない。


『ん?なんで?』


テーブルの下とか、
椅子の周りとか見てみても
見つからない伝票。

キョロキョロする私に気づいた店員が


『お会計、先ほど頂きましたよ』


声をかけてきてくれた。


『…へ?』

『お連れ様から頂いてます』

『…お連れ様…?』

『はい。先ほど』


最後の店員さんの言葉は
ほとんど聞かないくらいの勢いで
走ってお店を出る。


勢いよくドアを開けて
外に飛び出せば、

お店のすぐ横にある喫煙できる
スペースで、タバコを吸いながら
不敵にこっちを見て笑う

元彼がいた。


『…ご馳走様って言えよ』


笑いながらそう言って
吸っていたタバコを地面に落として
火を踏み消す。


『奢ってくれなんて頼んでない』


思いっきり睨みつけながらそう言うと、
乾いた笑いが聞こえる。


『会いたかったよ』

『私は会いたいなんて思ったことない』

『まじで?酷いね』

『どっちがよ』


静かにこっちに近づいてくる元彼に
思わず後ずさりする。


『なぁ、○○?』

『……』


やばい。

気持ち悪い。

その整いすぎってくらいに
綺麗な顔のせいで
なんだか不気味。


『俺と、やり直す気ない?』

『はぁ?』


120億パーセント
喧嘩腰の声が出た。


『俺との事、考え直して欲しいんだよね』


あれだけ最低なことをしておきながら
こんなことを言えるこいつの脳内が
おめでたい。


『お前以上に俺のこと好きでいてくれて
俺のこと尊重してくれた女…
他にいない。』

『……』

『やり直したいんだよ』

『……』

『今度は大切にする』

『……』

『な?』

『……』

『考え直し…』

『無理』


被せ気味にハッキリとそう言った私に
元彼は一瞬びっくりした顔をした。


『私付き合ってる人いるから』

『は?』

『そう言うことだから』


元彼に背を向けて歩き出す。


裕貴に早く会いたい。

裕貴に会って癒されたい。


そう思うのに
後ろからついてくる元彼のせいで
気分は苛立つばかり。


『○○彼氏出来たの?』

『……』

『聞いてないよ俺〜』


あったりめーだ!!
言うわけねーだろ!!!


『あ、分かった!』


その声とともに手を思いっきり
引っ張られた。

反転した身体は、
塀と元彼に挟まれていて

私の顔のすぐ左側には
元彼の右手。


俗に言う…

“壁ドン”


もう流行んねぇっつーの。


『ラインに送られてきた、アレ?』


目の前の元彼はやっぱり楽しそうに
笑いながら私に問いかけてくる。


『好きな人が出来たから別れようってやつ』


至近距離にある
その整った顔を睨み付ける。


『その好きな人って奴と
付き合ってんの?』

『…関係ないでしょ?』

『関係あるよ。
俺お前とやり直したいんだもん。』


悪びれもない態度に
ますますイラつく。


『…どいてくれないかな…』


静かに。
でも確実に怒りを含んで
そう吐き出した私。

楽しそうに笑う元彼。


『嫌だって言ったら?』

『どいてくれないかな』

『嫌だ』

『どいてくれないかなぁ!!!!』


付き合っていた頃は、
絶対に出さなかった私の怒鳴り声に
さすがの元彼も驚いたのか

両手を軽く万歳しながら
私と少し距離をとった。


『…ふーん。』


元彼は意味ありげに
そうつぶやくけど、

私は興奮がおさまらなくて
鼻息が荒くなる。

少しの沈黙が流れた後に、
元彼はポケットからタバコを取り出して
ジッポで火をつけた。

私に届くタバコの匂いが
付き合っていた頃を
嫌でも鮮明に思い出させる。


『お前変わったなぁ…』

『おかげさまでね』

『なんかムカつく』

『もうあんたの知ってる私じゃないの』


煙たい空気に顔をしかめて
今度こそ元彼をその場において
歩き出す。


早く早くと焦る私の背中に、


『お前を知ってるのは俺だけだよ』


と言う気持ち悪い言葉が
聞こえた気がした。







ピンポンピンポンピンポンピンポン


一心不乱に呼び鈴を押し続けると、

ドアの向こうで、
ドタドタと慌てた足音が聞こえる。


『はいはい』


ガチャッという扉の開く音と共に
そのドアをこじ開けて、
部屋の中に飛び込んで


『うわッ!!』


ドアの向こうにいる大好きな人に
思いっきり抱きつく。


『裕貴〜〜』


ギューッと抱きつきながら
顔を彼の胸に押し付ける。



あーもう、好き!!!

本当に好き!!!



裕貴の背中に回した手に力を入れて
ふがふがと匂いを嗅ぐと、


『匂いかがないの』


って言いながら、
満更でもなさそうに笑って
私を抱きしめながらドアを閉めた。


『焼き肉美味しかった?』

『裕貴と食べたかった』

『ごめんね』

『うん』

『また今度2人で行こうね』

『裕貴』

『どうした?』

『好き』


そう言うと裕貴は
もっと強く私の体を抱きしめてくれた。



元彼が何を思って
私にいきなり声をかけてきて

やり直したいんだなんて
言ってきたのか…

でももう向こうの番号は
着信拒否もしてるし。

私は裕貴以外の男なんて
微塵も興味ないし。


裕貴の腕の中で、

裕貴の匂いをたっぷり吸って、


さっきまでのことなんて
さっさと忘れよ。


そう思った。






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お久しぶりの越岡くんダヨ。

越岡くんダヨダヨ。



サラ〜っと書いて
一話だけで終わらせるつもりだったのに。

まとまりのある文が書けないから
こういうことになってしまうのね…

ト〜ホ〜ホ〜〜


文章能力欲しい

ト〜ホ〜ホ〜〜



福田くんの時も当初は3話くらいの
予定だった事は言わないでおこう(ボソボソ)



って事で続きます。
(ごめんなさいw)