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さう日和。

ファニーフェイスなオナゴ。ジャニーズ中心生活。

Love Liar 【6】




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“似てる”って何がだろう。


“自由”って何だろう。



さっきからわたしの頭の中は
その2つの言葉に支配されっぱなし。


どう考えたって答えが分かるわけもない
その2つの言葉が頭から離れない。


相も変わらず、私は雄大くんに
ご飯を食べさせてもらっている。

夜勤明けには家に行って、
1つのベットで仲良く寝たりだってしている。


この関係はなんなんだろう。

人には言えない、

なんか少しだけ恥ずかしい
雄大くんと私のこの関係。


未だに私はこの関係に名前を付けられない。


名前を付けて明確になるのが怖い。
この関係を明確にするのが。

でも怖く感じてしまうのはきっと、
私にその経験がないから。


訳の分からない、男女間の関係。





そんな“訳の分からない男女間の関係”を
明確なものにさせられたのは
それから数週間後のことだった。





その日も特等席と言われた一番端っこの席で
雄大くんお手製のご飯を食べていた。


今日はオムライス。


平日の夜のバーに
お客さんはあまりいなくて、
私の動かすスプーンがお皿に当たる音が
やけに響くような気さえしていた。


「今日は暇だ〜」なんて言うマスターと
談笑していたその瞬間に
カランカランと、ドアベルが鳴って

その人は現れた。


外の風が少し店内を冷やして
思わず肩をすくめた。


「……いらっしゃいませ」


ほんの少しの間をおいたマスターに
違和感を感じてふと顔を上げると

マスターの顔がこわばって見えたけれど
その顔はすぐに柔らかい笑みへと変わった。


「こんばんは」


開いたドアのせいで生まれた突風で
少し乱れた髪を直しながら
その女性はペコリと頭を下げる。


「こんばんは」

「1人…なんですけど、大丈夫ですか…?」

「喜んで。どうぞ。」


カウンターから出たマスターは
1人掛けのソファが向き合った席に
その女の人を案内した。

私の座るカウンターから
少し離れた場所にある席で、
ここからはよく会話が聞こえない。


バレない程度にチラ見していると
さっきまで緊張していたように見えた
女の人が「覚えててくれたんですか?」
ってマスターに言ってるのが見えた。


…マスターの知り合い?

でも、あのこわばった顔は…?


見間違いじゃないと思う。

気のせいでもないと思う。



いつまでも気にしていても仕方ないと
半分ほど食べて放置していた
自分の前に置いてあるオムライスへと目を向ける。

今日も感想を伝えてあげなきゃいけない。

ノートだって前回より綺麗に書いている。


試食を任され始めてから
自分なりに着目するところとか
分かってきた今日この頃。

雄大くんの力になれることが
何だか嬉しいと思いはじめていた。


オムライスをスプーンですくって
口に含んだら、
厨房から雄大くんが出てきた。

ふと合う視線。

中にパンパンに頬張った口に
笑みを浮かべようとした時、


「雄大くん!」


後ろから大きな声が聞こえた。


「…先輩…?」


私を見ていた視線は、
スッと横に移って

彼はそう口にした。


振り返ると、自分の出した大声に
恥ずかしくなったのか
さっき店内に入ってきた女の人が

両手で口元を押さえて少し頬を赤くして
雄大くんの方を見ていた。


私はごくんと音を立てて
口の中に入っていたものを飲み込んだ。


さっきまで美味しいと感じていた
オムライスだけど、味が全くしなかった。



嫌な予感がする。


説明できないけれど
すごく嫌な予感がする。


雄大くんに背中を向けていた私の視界に
彼が入り込んできた。

私の横を通り過ぎて
その女の人へ一歩ずつ近づく彼の名を呼んだけど


「…ゆうだいく、」

「先輩ッ!!」


彼の声にかき消された。



もはや自分がその場にいないような…

そんな気さえしてきて
私は大人しくその場に座り直した。





心ここに在らず。


今の私にはその言葉がぴったりだと思う。



たまにマスターが話しかけてくれるんだけど
自分がちゃんと会話できてるか分からなかった。

でも、マスターが笑っていたから
それなりの受け答えは出来ていたとは思う。


自分が何を話しているのか分からない。

自分の声が聞こえない。


ただ、雄大くんと楽しそうに話す
その女の人の姿を…

爪の先から髪の毛の先まで
目に刻んでおくことに必死だった。





ぼーっとした頭のまま
家に帰ってきてお風呂に入った。

お風呂から上がると
雄大くんからラインが来ていて、


“いつの間に帰ってたの!?
ノート見せて欲しかったのに!”


ってちょっと怒り気味の文だった。




ずっと考えていた事がある。

男の人に対して苦手意識を
フル発動している私が
なんでこんなことが出来たのか。


家に上がったり泊まったり
挙げ句の果てには同じ布団で寝たり。


それは私にとっては信じられないことだった。


最初は容姿のせいかと思っていた。

人より整ってる雄大くんのビジュアル。


苦手なだけで男の人に対して
カッコいいとかイケメンとか
そう言う感情はちゃっかりある私は
その彼のビジュアルのせいで
無意識に贔屓していたのかもって。


だから今までの自分からは想像もできない
行動をしていたのかと思ってたけど…

そうじゃなかったみたい。


すごく簡単なことだった。


なんで男の人が苦手な私が
甘い期待をしたり、
他の女の子に悔しくなって
手を振り返したりしたのか。


理由は1つしかない。


彼に惹かれていたから。

雄大くんを好きになっていたから。


ただそれだけだった。







「ごめんね、今電気付けるから」


パチンと、音がして店内が明るくなる。


手に持ったスーパーの袋を
カウンターに置いた彼は、


「はい、ありがとね」


って言いながら私の手に握られていた
スーパーの袋を取った。


「調子乗って買いすぎてたから
だいぶ助かったよ、ありがとね」


はじめて見る彼の私服に、
こんなオシャレなお店を出す人は
私服もオシャレなんだな…って思った。


「飲み物何がいい?」

「いや…大丈夫です」

「お礼だから。何がいい?」

「…オレンジジュースで…」

「了解」


グラスに氷が当たる音が響く。


この間、私は自分の気持ちを知った。

自分のことなのに今まで気づかなかった。


でも、その気持ちを自覚したら
変な不安も一緒についてきた。


この不安がなんなのか、
何1つ分からないまま
気分転換のために街に出ると

買い出しに来ていたマスターと
ばったり遭遇した。


何個も袋を手から下げたマスターの
お荷物持ちとして手を貸して…
今こうしてお店に来ている。


と言っても開店前だから誰1人いない。

いつもと違う店内はなんか変な感じ。


特等席まで行くのが面倒くさくて、
目の前にある椅子に腰を下ろして


冷蔵庫からオレンジジュースを取り出して
グラスに綺麗にそそぐマスターに


「マスター」


気づけば声をかけていた。


「…どうしたの?」

「マスターが前に言ってた、
雄大くんを自由にしたかったって…話」

「あー…うん」

「この前のあの女の人と何か関係あるんですか?」


もうここまできたら遠回しになんて
聞いていられないと思った。

変にそんなことしてもマスターはきっと
私よりも何倍も頭が良さそうだから
すぐバレるだろうし、

何よりこのモヤモヤしたしこりを
早い所取っ払いたかった。


「まぁ…」

「……」

「そんなとこかな…」

「…ですよね」

「気づいた…?」


マスターが聞いているのは、
きっと雄大くんの気持ちのこと。


「なんとなくですけど」

「そうだね」

「だって…表情からして違いますもん」


視線を落とした私の前に
オレンジジュースが置かれた。


受け入れなくてはいけない現実が
じわじわと襲いかかってくる。


「雄大くんは…」


それは、今まで恋愛に向き合ってこなかった
私からしたら重すぎるくらいの現実…


「あの女の人が好きなんですね…」


目の前のマスターの大きな手が
頭の上にポンと乗ったりするから
気持ちが緩みそうになって
ぎゅっとアゴに梅干しを作った。


私は自分の気持ちと失恋を
一気に受け止めなくちゃいけなかった。


「泣かないで」

「…大丈夫です」

「女の子の涙…苦手なんだ」


マスターの手は私の頭を優しく撫でると
スッとそこから離れた。


「これはまだ雄大がこのお店に
客として来てくれてた時の話なんだけどね」


それと同時に口を開く。


「あいつ普通に会社員してたんだよ。」

「はい、聞いたことあります。」

「うん。でね、その時新人だった雄大に
色々と教えてたのが雄大が“先輩”って呼んでた
この間お店に来たあの女の人。」

「だから、“先輩”…」

「そう」

「……」

「ごめんね。ハッキリ言っちゃうけど
雄大のやつ、あの人のこと好きだったんだよ」


分かっていたことだけど
マスターの口から聞くとその事実が
さっき以上に重くのしかかった。


「ずっと好きで…でも俺からしてみれば
そんな楽しくもない片想い
さっさと辞めちまえって思ってた」

「…なんでですか…?」


これだけ雄大くんを可愛がっているのに
応援をしなかったマスターに疑問を抱く。


眉をひそめた私に、マスターは
気まずそうな顔をしながら


「あの人には付き合ってる人がいたから」


そう言った。


「別れる見込みなんて全くない彼氏。」

「……」

「しかもその彼氏っていうのが雄大の大学の時の
サッカーサークルの先輩だった人でさ」

「……」

「世間って本当に狭いよな」

「……」

「雄大はあの女の先輩に告白も出来ないのに
でも仕事の関係上ずっと近くにいなきゃいけない」

「……」

「そんな状態で気持ちに諦めつくと思う?」


思わず首を横に振った。


好きな人に彼氏がいたとしても…

その彼氏が自分が昔お世話になった人だとしても…


好きな人が近くにいる以上、
気持ちを抑えるなんて出来っこない。

人の気持ちなんてそんな簡単に
変わるものじゃない。


「ね、でしょ?だから俺は雄大を
この店のスタッフに誘ったの。」

「…自由って」

「そう。そういうこと。
自分の気持ちにいつまでも縛られてるあいつを
あの女の人から離れさせて自由にしてあげたかった。」

「でも…ッ」


思わず出た言葉に、
マスターも私が何を思ったのか
理解したみたいで


「うん、意味なかったけどね」


眉毛を垂らしながらそう言った。


「まだ好きなんだ。あいつはあの人のこと。」


その言葉を聞いても、
涙は出なかった。


本当は心のどこかで気づいていたのかもしれない。

雄大くんは、私にすごく優しかった。

家に来いとか店に来いとか。
一緒に寝るのだって。

普通なら勘違いしてもいいくらい。


なのに、なんか違う感じがした。

彼からは下心が感じられなかった。


きっとそれは、
気持ちが入っていなかったから。

私に対して“好き”という感情を
持っていなかった。


自分が雄大くんに惹かれていたのもあるけれど
あそこまで素直に甘えられていたのは

彼が私に向ける気持ちが
“異性”への好意ではなかったから
私自身を身構えずに彼に惹かれることが
出来ていたのかもしれない。


「あの女の先輩…結婚間近らしいよ」

「…なのに好きなんですね、雄大くん」

「それはキミもでしょ?」

「…そうですね」

「好きな人に好きな人がいるって知ってても
諦められないときはあるよね」

「……」


出されたオレンジジュースに
やっと手をかけてゴクゴクと飲み出した私に
マスターは身を乗り出して顔を近づけて来た。


「1つ聞いていい?」

「…なんですか?」

「雄大がキミと自分は似てるって言ってたけど…」

「言われました…なんでか分からないけど」

「キミ、雄大のこと好きなんだよね?」

「はい。ついこの間自覚しましたけど」

「あのさ…」

「はい。」

「すごく言いづらいんだけど…」

「…はい」

「雄大…キミはまだ元彼に未練あると思ってるよ」

「………え…?」







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久しぶりにやっとこさ更新出来ました。

やることがありすぎてアタフタしてたけど
やっと落ちといたのでまたマメに
更新していけたらな…なんて。


すごくどうでもいい話なんですけどネ。

私中学生の時から集めてる
少年漫画があるんですよ。


最近一巻から読み返してみたんですけど、

中学、高校時代好きだったキャラも
もちろんそのまま好きなんですけど

20代後半に入って
読み返したところ…


今まで見向きもしてなかったキャラに
ズドーーンと落ちまして(笑)

なんだろうね、アレ。

今まで全く興味なかったのに。

なんでかな。なんでかな。


なにかな〜なにかな〜さかな〜〜

(↑多くの人が分かってくれるであろうボケ)


私が年取ったから?

若い頃と今じゃ好みってやっぱり変わるのかしら。

なんていうどうでもいい話。


ご静聴ありがとうございました(笑)



あ、因みに集めてる少年漫画は

あひるの空

です。


バスケ漫画。ダムダム。

読んでる人いるかな?

いたら嬉しい。